エチオピアのたび

顔を覆うハエ (ラリベラ)

<聖ジョージ教会(2枚組)

エチオピアにはアクスム、ラリベラをはじめとして7つの世界遺産があり、キリスト教の教会やイスラム教のモスクが点在している。その中でも観光地として最も有名なポイントがこの聖ジョージ教会である。分厚い岩盤からくり抜いた十字架状の建造物は、大きさが縦横高さとも約12m。とても人間が造り出したとは思えない。白い巡礼服を纏った人々のように、こうべを深く垂れてしまう神々しさであった。

エチオピアはどこに行ってもハエが多いが、ラリベラでは時に泣き出したくなるほどハエが群がる。難民キャンプの映像で乳幼児の顔にハエが群れるのを見ることがあるが、あれと一緒である。ハエが顔にたかるのは不潔だからとか現地人だからとかいうことではない。私が疲れて口で息をすれば、口の中めがけて一斉にハエが寄ってくる。口元以外にも、目尻、目頭、鼻穴など少しでも水分を含んでいる部分にハエの集団は何度も襲ってくる。手でハエを追っているか、まばたきや顔を振ることを続けていなければならない。

朝の集落を歩いていると、学校へ向かう子供たちが次々と現れてきた。小学校低学年にみえる男の子が上手な英語で私に話しかける。賢そうにみえる少年だが、笑った時にハエの集団が彼の顔を一瞬黒く覆い隠した。間近で見ていた私は、目が点になり口が半開きだった。

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