[コソボ]プリシュティナ

コソボ自治州の首都プリシュティナ。名前が気に入った。何かありそうな気がしてUNMIK(国連コソボ暫定行政ミッション)が運営する鉄道に乗りこの街に入った。しかし何もなかった。
ただ、国連の車が警察の車と同じくらい走り回り、街のあちこちにセキュリティ要員が配置されていただけだった。街の人々は穏やかで暖かみがあり、スコーピエと似たところがある。
唯一の見所である博物館は閉まっていた。この日は冷たい雨の中ハーフマラソンが開かれていた。
昨日、今日とすこぶる寒い。持ってきた服を全て重ね着してもまだ震える。明日もこれだけ寒ければセーターでも買うしかない。

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コソボの列車はほぼトーマスクックの時刻通りに運行される。ヨーロッパにしてはあまりにも乗客の身なりが貧しく目つきが悪いため、走行中はカバンを隣の席にチェーンで括りつけ鍵をかけていた。

のどかな車窓は美しい自然に溢れている。列車はしばしば牧草地の中で停車する。コソボの自然と生活の中を列車はゆっくりと走る。空き地で遊ぶ子供たちや川で釣り糸を垂れる人たちと目が合ってしまいそうだ。住宅地の近くを通る時、小さな子供たちが列車に向かって手を振っていた。なんと懐かしい情景だろう。

列車がコソボとセルビアの国境駅に着く。降りて小さな駅をのぞいてみたが駅員が見あたらず、地元の人たちが駅舎内をゆっくり歩き回っていた。再び列車に乗り席で待っていると、少年たちが車内に入ってきて声をかけてくる。訴えるような目つきから何か要求しているようだ。少年たちが立ち去ると、機関車から切り離された車内はひっそりとしている。
この列車が別の機関車に連結され、そのままセルビアに向かうのか、それとも乗り換える必要があるのか、尋ねられる人はいない。まあ、時刻表の出発時間が近づけばわかるだろう。私はカバンをしっかり抱きかかえじっと待っていた。
駅舎内にいた乗客が外に出てきてざわついてきた。セルビア側から短い編成の列車が汽笛を鳴らしてやってくる。そうだ、あの列車が折り返してセルビアに向かうのに違いない。私は抱えていたカバンを持ち線路に降りた。

<後日記>

帰国後、外務省安全情報を見るとコソボは渡航延期を促すレベル(4段階中3)になっている危険地域であることを知った。(1か2ぐらいかなとは思っていたが)
また、入国スタンプに関してもセルビア出国時などにいろいろとやっかいな事になりそうな記載がされている。事前にこれらの情報を得ていれば、敢えてコソボには入らなかっただろう。私はただ自分のルート上にコソボがあったから通っただけで特に行きたい所はなかった。実際、首都プリシュティーナには何もなかった。地方都市は地雷が残り、犯罪も多いという。
よって観光目的のコソボ訪問はお勧めしない。(2006年8月)

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