国別アーカイブ:フランス ( 10件の日記 )

[フランス]パリ

<ノートルダム大聖堂>

最終日、ルーブル美術館にはまってしまった。1回で全部見られるものではないと聞いていたので有名どころだけポイントを押さえて見るつもりだった。
ミロのビーナスやモナリザの微笑み周辺は大変な熱気で蒸し暑い。ぐったり疲れて、人気のない展示コーナーで椅子に座り涼む。各ポイントにはそこの解説が書かれたA3サイズの板を手に取り読むことができる。各国の言語が用意されているので日本語版をじっくり読む。すると、そのコーナーに興味がわき、展示物を鑑賞する。そして、また人の多いコーナーに繰り出す。そんなことをしているうちに広大な館内のほとんどのエリアを訪れてしまった。
このルーブル美術館(日本語では博物館の方が良い気がするのだが)は非常に鑑賞しやすい。各国の言語で用意された案内図は大変わかりやすく、館内の誘導表示や地図もその案内図に沿っているため、複雑な建物内もほとんど迷うことなく歩き回れる。そして、展示物は世界の博物館、美術館のお手本となるような見やすい配置となっている。相当のお宝ばかりだと思うのだが、ほとんどの展示物は見学者が手で触ってしまえるほど無防備に陳列している。個人的には不要だと思うのだがカメラ撮影が可能なコーナーが多く、流量制限もなく自由に見て回れる。ヨーロッパで今まで見てきた博物館とはかなり異なる気がする。フランス人の寛容さによるものが大きいのだろうか、ヨーロッパでもやればできるじゃない。

ルーブル美術館で時間を取られ、パリの観光時間が残り少なくなってきた。あわててシテ島周辺を歩き回る。
いいんじゃない。歩道が広く清潔で歩きやすい。イメージしていたヨーロッパ大都市の景観が目に入る。のんびりと探索したいが時間がない。写真を撮っている暇もない。

ヨーロッパ観光はパリを抜きには語れない。やっとヨーロッパを旅している気分になった時、3ヶ月の旅の終わりを迎えた。

[フランス]ベルサイユ

フランスが誇る観光地であり、フランス国内で最初に世界文化遺産に指定されたというベルサイユ宮殿は期待していた。ヨーロッパで1番か2番目に良かったウィーンのシェーンブルン宮殿より知名度からいっても勝っているのは間違いないだろうと思っていた。それゆえハイシーズン週末料金で25ユーロという超高額パスを1時間並んで購入したのだが。
うーん、宮殿内は最低このぐらいないと許さないぞと考えていたギリギリのレベル。他の国でさんざん似たような施設を見てきた後だけにほとんど感動がない。ご自慢の庭園はさすがに広い。いや、広すぎる。歩いて見る大きさではない。しかし、パスを買ってしまっているのでひととおりポイントを回りたいし、有料乗り物に更に金を出すなんてとんでもないことだし、と歩き回っているとあっという間に1日は終わってしまった。
植物園かと思えるほどよく手入れされた木々や花々が生い茂り、エリア毎に変化のある良い公園だと思うが、これを十分の一に凝縮してもらわないと、日本人としては公園を鑑賞した気分になれない。
私は歩くのが好きで比較的得意だと思っていたが、公園のあまりの広さに膝や腰に痛みを感じてベンチで休む。大勢の家族連れが談笑しながら目の前を通り過ぎていく。本当に良く歩く人たちだ。恐れ入りましたヨーロッパ人。

ベルサイユ宮殿でチケット購入のため列に並んでいる時、私のすぐ前に2組の若いカップルがいた。そう、若かったのでアレが切れるのが早い。そして、2組のカップルというのはお互い刺激しあう。もう5分も間をあけずににチュッチュッ、チュッチュッとキスの応酬。至近距離で見せられるこちらにとって、それは目の前で鼻をかんだり淡をはかれるよりも不快だ。ヨーロッパではこんな下品な行為が許されるのだろうか。彼らのあまりのひどさによほど注意してやろうかと思ったが、ここは敵地。キスに対するこちらの人々の認識を私は理解していない。ここで私が声を荒らげて注意することは、もしかすると、「音を出してソバをすするな」と東京の蕎麦屋で外国人が怒鳴るのに等しいのかもしれない。せめて嫌煙権ならぬ嫌キス権を行使させてもらいたい。嫌キス権のバッチを胸に付け、下品なカップルに対しては黙ってそのバッチを突きだしてみせる。それが認知されてくると実は東洋人だけでなくヨーロッパ人の多くもその嫌キス権のバッチを胸に付けているかもしれない。

パリのホテルはネット上で最安値のKyriad HOTEL。安くて清潔な良い部屋だと思っていたが、このホテルにはエアコンがない以外にも問題があった。向かい側がミュージックバーで、スペイン民族音楽が休みなく続く。長時間の西日であたたまった部屋を冷やそうと窓を全開にしているからたまらない。周辺が住宅地なのに、これだけの大音響垂れ流し状態に苦情がないのが理解できない。
車内での携帯電話やヘッドホンステレオの騒音に嫌な顔すらみせないことからも、フランス人は音に対してかなり寛容なのだろうか。

[フランス]モンサンミッシェル

<モンサンミッシェル遠景/内部(2枚組)

トゥールからルマンを経由してレンヌへそこからバスで1時間強でモンサンミッシェルに着く。昨日に続き雨。激しく降ることはないが、カメラもレンズも濡れる雨が降っている。
更に重い荷物を抱えたまま、参道を登り城内を観光せざるを得なかった。大変な失敗だ。

ヨーロッパでは特急の停まる駅にはコインロッカーや荷物一時預かりがあり、何度か利用していた。フランスの駅も同様にあると思っていたが、大きな駅であるレンヌでは荷物を預かるサービスは行っていなかった。(そういえばフランスの駅では手荷物預り所を見ていない)
しかしながら大きな観光施設にはクロークがあるものだと思っていたが、それは博物館や美術館の場合で、モンサンミッシェルにはクロークがなかった。時々、傘を差してカメラを持ち、肩から体が傾くほど重いバッグをぶら下げる。なかなか辛い。
パリから日帰りするか、近くの街にホテルを取って荷物を置く必要があったのだ。

モンサンミッシェルは、ここにしかない景観をみせてくれるという点では価値があるが、さんざん写真や映像で見ているため新たな感動は生まれにくい。有名な観光地だから見に来て満足というのが、おおかたの観光客の感想ではないだろうか。

今回のヨーロッパ旅行で可能な限り有料トイレを避けてきたが、今日はまだ腹が不調だったため2回も利用してしまった。ヨーロッパのトイレを有料にしているのは浮浪者対策が大きいと考えていたが、モンサンミッシェル内のトイレが有料というのはどういうことだろう。島内にはトイレが少ないからできるだけ我慢してねという風にしか理解できない。

ヨーロッパで多くみられる公共スペースでのキスには全く慣れないどころか不快極まりない。なぜ私の目の前でするのだ。なぜ音を立ててキスする必要がある。
レンヌからパリへ戻る列車で対面に座るカップルが頻繁にキスをしていた。ニコチンかカフェインのような何らかの成分が切れお互いがキスを求めているようだが、それが15分も持たない。フランスは周辺国と違って、車内で携帯電話の利用が禁止されているようだが、ほとんど守られていない。たとえ車内でキスを禁止しても守られないんだろうな。
「えー車内のお客さまー、周りのお客様のご迷惑になりますので、キスはデッキで、えーキッスはデッキでお済ませ下さいますようお願いします」

[フランス]トゥール

<シャンボール城航空写真

今日はモンサンミッシェル近くの街ポルトソンに宿泊するつもりだったが、予定していた列車が曜日運行で走っていないことが昨晩分かった。よく見ると平日は1日2本しか走っていない。フランスの列車は北部でも本数が少ない。今さらパリの宿を取ることは困難が予想される。考えた末、当初予定していたロワール古城めぐりをすることにしてトゥールに向かう。

トゥールから更に列車とバスを乗り継いで、この辺りで最も有名なシャンボール城を訪ねた。
最初は奇抜な外観に興奮したが、見慣れてくると雑然とした稚拙なデザインに思えてきた。
しかし、狩猟の拠点として使われたというこの城の周辺にはのどかな自然が広がっている。一帯には何十もの古城があるというから、ヨーロッパ旅行者のようにキャンプカーや自転車で巡るのは楽しそうだ。

<2006年7月5日(前日)>

マラケシュからパリへの空路移動。やっと胃腸が通常の不調状態まで戻った。あとは普通に食べながら治していく。機内食で久々のサラダと肉料理。ワインをグラスに注ぎ、食べようとするとパンがない。以前は余程空腹でない限り、機内食でパンに手をつけることがなかったが、今はパンがないと寂しい。フライトアテンダントに催促すると、前の席から順番に配っているため少し待つよう促される。早く持って来てくれ、パンなしで肉が食えるか、ワインが飲めるか。すっかりパン好きになってしまった。

パリも暑い。荷物を持って街を歩いている時の暑さはモロッコと変わらない。それなのにホテルにはエアコンがなく、扇風機すらないというのは今日の暑さが特別ということか。モロッコやスペインでもエアコン、扇風機なしの部屋に泊まったが、夜になればかなり冷えた。しかし、この部屋は窓を開けていても涼しい風が全く入ってこない。更にワールドカップの試合でフランスが勝ったものだから、住宅地であるこの周辺も大騒ぎだ。(騒ぎは3時ぐらいに収まったが、寝苦しい暑さは朝まで続いた)

パリのホテルはヨーロッパ内で最も高く空き部屋をみつけにくいということなので、ニースで無料ネット利用が可能だった時に2時間ぐらいかけて最安値の部屋をみつけた。このKyriad HOTELはフランス国内に200の拠点を持つまともなホテルのようだがシンクが異常に小さい。私の両手のひらが収まらないのだ。日課である洗濯に大変苦労した。

[フランス]アヴィニョン

<法王庁宮殿正面航空写真回転拡大可)

フランスでやっとこれはという遺産に出会った。

アヴィニョンには14世紀にローマ教皇の本拠地だった宮殿がある。内部のほとんどの部屋をオーディオガイドを聞きながら見て回ることができる。さすが教皇庁、部屋の大きさやたたずまいに威厳が感じられ、本物の遺跡を見ているんだという気になった。室内の壁画や彫像、装飾品がほとんどないのが残念だ。火事で焼けてしまったり、フランス革命時に消失、破壊されたり、パリに持ち去られたりしているそうだ。パティストリーなどパリにそれらしき物があるなら返して欲しい。そうすればもっと楽しめるだろう。

街はアルルよりは大きいが、城壁に囲まれた地域はほどよいサイズにまとまっていて、所々に歩いて楽しい通りがある。ホテル、博物館のスタッフ、スーパーの店員など人あたりがよく、歩道も歩きやすいので気持ちよく観光できる。プロバンス地方の中心だというが、街並みや周辺の景色からは特異さが感じられない。レストランで食事をする旅行者はプロバンスらしさを味わえるのだろうが。

<フランスめも>

鉄道はフランスに入って急に使いにくくなった。フランス南部に限ったことかもしれないが、本数がかなり少ない。イタリアではトーマスクック時刻表に載っていないローカル列車がいくらでもあり、主要な駅間は1時間に1本以上が普通だったが、フランスではトーマスクック掲載の列車が全てで、主要駅間も日に数本というパターンが多い。つい、イタリアの感覚で出発時間を確認しないまま駅に行き、ニースでもアルルでも2時間以上待たされることになった。
そして、運賃が高い。イタリアの2、3倍だろうか。それでもまだ日本よりは安い気がするが。
車内はイタリアより大分きれいだが、シートの間隔が異常に狭いのが気になる。古い車両の対面式シートは満席になった時大柄なフランス人の足がどのように配置されるのかが想像できないほどの狭さだ。

ニースから気になっていたが、野犬を見かけない割にはどの街にも犬のフンが多い。歩道のあちこちでにおいが立ち上るモノや歩行者に踏みつけられたモノが見られる。犬を散歩させている時、綱をつけていないことが多い。しつけが良く襲いかかることはなさそうだが、よだれを垂らした大きな犬が鼻を私のズボンにこすりつけようとしてきた時には、かなりあせった。列車内の通路を塞ぐように寝そべる犬もいる。
犬嫌いには耐えられない。

フランスでも鳩やツバメがやたらといる。アルルでは、鳥のフンまみれのボディーで走る車を数多く見かけた。木の下で鳥のフンが固まるところは臭い。動物嫌いの私にとって、その面での辛さはインドなみだ。

人はよろしい。ストラスブールを含めてフランスの街全てで、人々の対応が非常によい。時々、不気味なほどに愛想がよかったり、親切な人に出会う。英語を理解していてもフランス語しか話さない人が多いという噂も昔話のようで、ほとんどの人が英語を話すため、モロッコに向けたフランス語の練習ができなかった。最後にパリ周辺にも行くが、人あたりが冷たいと思っていたフランス人の印象を変えなければいけないかも。

[フランス]アルル

<アルル旧市街/周辺の教会遺跡(2枚組)

アルルは、小さいながら魅力的な街というべきか小さくてつまらない街と評すべきか微妙だ。

少なくとも世界遺産に指定されている遺跡はつまらない。
航空写真で見る円形劇場周辺はきれいだが)
小さい、汚い、そして保存状態が悪い。日本だったら県の指定文化財程度だろう。ヨーロッパの世界遺産は認定基準が甘い(世界遺産は観光資源として評価しているのではないが)のではと思われるものが多い。一度指定してしまったものを取り消す訳にいかないのなら、それなりの遺産になるよう修復保存すべきだ。
しかし、世界遺産に指定されていない教会遺跡で趣深い所があり、教会と広場を中心に細い路地が広がる旧市街は面白味がある。

旧市街の狭い道を車がスピードを上げて走ったり、教会前の広場で少年たちがスケートボードを乗り回して観光客を寄せ付けないといった不快な面が改善され、ほんの少しだけでも遺跡を整備すれば、もっと魅力的な観光地になるはずだ。今のままでは休憩が必要な疲れた旅人にしか勧められない。

[フランス]マルセイユ

<ノートルダム聖堂からマルセイユ郊外を望む>

マルセイユはフランスでパリの次に有名で歴史のある都市。観光地でもあると思っていたがちょっと違った。

北アフリカや中近東の人たちが増え私好みの匂いがしているが、今ひとつ面白味がない。眺めの良い丘の上に建つノートルダム聖堂(航空写真)と2、3km沖合の小島に岩窟王の舞台となった牢獄があるだけ。もう少し何かあるはずだと1日歩き回ったが、他に見つけることができなかった。

安そうなアジア食堂にトルコ食堂、そして明るいスーパーが並ぶ通りを見つけたが、ケバブの夕食を取り、買い物も済ませた後だった。その通りはホテルのすぐそばで、何度か覗いていたのに気づかなかったのだ。ヨーロッパは1ヶ月半旅しているというのにどうも鼻が利かない。

宿代はニースの最高値から一転してユーロ圏でギリシャのテッサロニキに次いで安い25ユーロ。ガイドブックで治安が悪いとしきりに脅す駅周辺にある宿だが。

[フランス]ニース

<ニースの海岸/ニースの港(2枚組)

ニースは夏。日差しが強く、ビーチで横になるのにちょうど良い暑さ。
海は青く、水着姿やトップレスの海水浴客が輝いて見える。これがニースの全てなのだろうか。海水浴をしなくても一年中リゾート気分が味わえる街と思っていたが、人と車が多い割に道が狭く、更にあちこちで大がかりな工事をしているため非常に歩きにくい。美術館がある以外に特に見るものもなさそうだし。

安宿が豊富にあり旧市街には庶民向けの安食堂が多いというガイドブックの記載を信じて来たが、世界的な保養地のニースが安いわけない。かなり探し歩き、相当しつこくディスカウントを試みたが、今回の旅の宿泊費最高値を更新して52ユーロになってしまった。物価基準食品であるケバブも旧市街ですら最高値の4ユーロ。ガイドブックは何と比較して安いと言っているのだろう。これからのフランスの街が更に高くなっていくのだろうか。

今のところ人は概ね良い。地図を持ってうろうろしていた時、2度も女性から何を探しているのと愛想よく話しかけられた。通常の観光地ではかなり警戒すべき状況だったが、2人とも親切に道を教えてそのまま立ち去った。さすがフランス、れっきとした先進国だ。

[フランス]ストラスブール

劣悪地帯を抜け出してほっとした気分だ。ベネルクスがそんなにひどい所だとは思いたくないが、フランスの地方都市に入って、こんなにも人の対応が変わるのかと思った。
夜の宿探しはもうやめようと思い、早い時間帯に到着できるよう、ルクセンブルクから適度な距離にあったストラスブールで泊まることにする。
ガイドブックに載っていた宿でチェックインできたが、そこの中年女性スタッフが実ににこやかに応対する。

ここは物価が安そうなので、ヨーロッパの牛丼的位置づけのケバブはやめようと思っていた。ただ価格チェックのつもりで覗いていたら、ついついお店の姉ちゃんの愛想の良い誘いに負けてケバブを頼んでしまう。他の店の兄ちゃんも街で道を尋ねたお婆さんも、今日は会う人全てが心地よい。

ストラスブールは運河に囲まれた周囲2kmの街の中心部に古く美しい街並みがあり、見応えあるノートルダム大聖堂と趣深いアルザス博物館を見学しても半日あれば十分。お手軽観光地だ。

[フランス]シャルルドゴール空港

夕陽があたるパリのシャルルドゴール空港。搭乗を待つ人たちの長い影ができていた。