国別アーカイブ:モンテネグロ ( 3件の日記 )

[モンテネグロ]バル

ドブロブニクから雨が降り続いている。ヨーロッパに入ってからずっと雨につきまとわれているような気がする。

ドイツなど高緯度の国々では、雨といっても小雨がぱらつく程度で、人々は傘を持ち歩かない。それが南に下がってくると本格的な雨が多くなる。
しかし、一日中降り続けることはなく、強く打ちつけたかと思うとすぐ止み、晴れ上がったかと思うとまた降り出す、とまるで山の天気のようだ。

1日の気温差が大きいのはヨーロッパどこでも同じようだ。Tシャツ姿でも汗がでる暑さから、ジャンパーを羽織っても手がかじかむ寒さまでの気温の変化を1日に何度も繰り返すことがある。ヨーロッパの街では、暑さに強い人と寒さに強い人が両極端な格好で歩いている。私は彼らのように肌が丈夫でなく変温動物でもないため、Tシャツ1枚、長袖を羽織る、さらにジャンパーを着るということを頻繁に繰り返していなければならなかった。

バルは南国のような強い雨が降っていた。道路に大量の水が流れ、とても観光できる状態ではない。さらに街の地図をみつけることができなかったため、夜10時に出航するイタリア行きのフェリーボート周辺をただうろついていた。

[モンテネグロ]ブドゥバ

<ブドゥバ旧市街航空写真

海沿いの街を巡り3日目、やっと波の音を聞いた。潮の香りも漂い、海に来たと実感する。

コトルが期待以上だったため、構成が似たような観光地とわかりつつブドゥバに立ち寄った。泊まるかどうか決めていなかったが、バスを降りた時に激しい雨に遭い、ターミナル近くの小綺麗な宿を訪ねると、20ユーロという安さに迷わず部屋を取る。
コトルでは、海に面した(かつての)高級リゾートホテルが27ユーロという安さに感動していたが、ブドゥバの20ユーロのホテルは部屋や朝食のグレードがコトル27ユーロより大きくアップ。
セルビア・モンテネグロ、ボスニア・ヘルツェゴビナ、スロベニアあたりが私がイメージしていた東欧の物価の安さだ。

食べ物も安く、さらに食品の種類が豊富(ここがセルビアとは異なる)なため、初めて魚を1匹食べるなど、食いだめしている。観光地としてのブドゥバは、レンタカーで来て1、2時間立ち寄るぐらいがちょうど良い場所だったが、休養を取り栄養をつけるという意味では良いところだった。

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長年にわたる動物愛護の賜物か、犬、猫、鳩をはじめとして人なつっこい動物がヨーロッパでは多い。スズメは決して人のそばに近づかないものと思っていたが、鳩と一緒に人間の近くでパンくずを食べるだけでなく、餌をねだってくるモノまでいるのには驚いた。
ザグレグのホームで列車を待っていた時、一羽のスズメが近寄り、私の足下でちょんちょんちょんと気を引くように軽くジャンプした後、くいっくいっと私をみつめながら顔を左右に傾ける。かわいらしいしぐさに私は何か餌になるものがないか探していると、そのすずめは隣のベンチの人に移り、同じようにちょんちょんちょんとおねだりジャンプする。
ブドゥバの食堂で昼食をとっていると、開け放された入り口からスズメたちが何羽も入ってきて、床下にこぼしたパンくずをあさる。そのうち一羽が食事中の私の目の前でテーブル上を軽いスキップで歩きまわり、立ち止まると私の顔をみつめてくいっくいっと顔を傾ける。
日本からやってきたスズメが見たら驚いて叫ぶに違いない。おい、お前ら人間に媚びるとは、雀魂を失ったのか。

<後日記>

この日、モンテネグロがセルビア・モンテネグロから独立宣言をして両国は分離独立することになったが、旅行中は全くそんなことに気づかなかった。
テレビや新聞を見ていないというだけでなく、地元の人と交流していなかったということだ。平和裡に独立が行なわれたので良かったが暴動でも起きていれば大変。もう少しゆっくり旅しよう。

[モンテネグロ]コトル

<コトルの城壁(縦)/コトル旧市街(横)航空写真

四方を険しい山で囲まれた海。そうあるものではない。

城壁で守られた海沿いの要塞集落としてコトルも世界遺産に指定されているが、旧市街の大きさや美しさはドブロブニクから2段階ぐらい落ちる。しかし、ここには美しい山とその中腹まで延びる魅力的な城壁がある。

コトルは口を小さくすぼめた深い入り江の奥にある。湖のように穏やかな海をそそり立つ山々が見下ろす。海岸沿いのわずかな平地に赤い瓦屋根の集落が点在する。
城門を抜けて要塞内に入った時、予想外の華やかな雰囲気に意表をつかれ、建物のすぐ後ろに迫る山の景色に驚かされる。標高240m程の城壁を登っていくと、刻々と変化する海、山、家々の眺望が楽しめる。
見所がコンパクトにまとまっているので、半日もかからず観光は終わってしまうが、天気が良ければ1日ゆっくりしていたい場所だ。

モスタルでは、ここはボスニア・ヘルツェゴビナでなくヘルツェゴビナだという意識を強く感じた。モンテネグロでも同様で、こちらの地図ではセルビアはモンテネグロと別の国として色分けされる。
セルビアを観光していた時、セルビア・モンテネグロの公式通貨であるディナールを意図的に残していたが、モンテネグロ内ではユーロしか使えない。(旅行中は全く気づかなかったが翌日の2006年6月3日モンテネグロが独立を宣言する)