国別アーカイブ:モロッコ ( 6件の日記 )

[モロッコ]マラケシュ

<エルフナ広場航空写真の夜の屋台(2枚組)

今朝も体調が悪く10時過ぎにやっとカサブランカのホテルを出たが、11時発の列車が2時間以上遅れてマラケシュに17時ごろ着く。
バスで旧市街に入り、夕方でも35度近い暑さの中を歩き、エルフナ広場に近いホテルにチェックインする。もうほとんど力尽きていたが、朝、ホテルの部屋でパンをかじったきり何も口にしていないので探索にでかける。
エルフナ広場は人であふれかえる。屋台でジュースや食べ物が売られ、あちこちのスペースでパフォーマンスが行なわれる。パフォーマンスのほとんどはモロッコ人向けで言葉も分からないので面白くない。ヘビは気持ち悪いだけだし、カメラを向けると待ち構えていた集金係がすぐに寄ってくる。撮影代を払うのには抵抗があるので、つまらないものを敢えて撮るのはやめる。
地元の美味そうな食事をとりたいところだが、今日の体調では屋台から漂う臭いだけで気分が悪い。他の街ではよく目にしていたマクドナルドをここマラケシュ旧市街ではみつけられず、外国人向けピザショップで凌ぐことにした。

<2006年7月3日>

体の節々が痛み、長時間睡眠を取っても瞼が重い。カイロで停滞した時と同じような症状になってきた。
エアコンの効いた部屋で昏々と眠る。

アリガト、アタマ、アキハバラ。
エルフナ広場で羊のアタマをカウンターに並べて食事を供する屋台がある。そこを通った時、呼び込みのオヤジに声かけられ、おもわず吹き出してしまった。誰かに教えられた見事なフレーズだと思ったが、たまたま出てきた言葉のようだ。少し経ってから、再びその前を通った時はテンポ悪くこう言っていたから。
アリガト、シナガワ、ア、アタマ。
それじゃ全然面白くないんだよな。

つまらないと思っていたエルフナ広場だが、時々、聞き惚れる音楽が流れてきたり、変わったゲームをしているのをみつけて足を止める。日本の民謡のような歌声が聞こえていても必ず途中からアップテンポの打楽器が加わり、子供たちが体をくねらせるアフリカっぽい音楽に変わってくる。上手なグループもいるが、ほとんどはただの素人が騒音を出しているだけだ。
ゲームではコーラ釣りに目を引かれた。ガラスの2L瓶を地面に並べ、釣り糸から垂れる輪を瓶の注ぎ口に通せば、それを持ち帰れるのだが簡単にはいかないようだ。暗くならないと始めないゲームで、真っ暗になると10人以上が円陣を組み釣り糸を垂れる姿が面白かった。が、ただそれだけだ。

マラケシュには安くて栄養のありそうな食べ物が多い。屋台で素材を店頭に並べ目の前で調理するので、体調が良ければさぞかし美味しそうにみえたことだろう。
カフェバーで飲み物しか目に入らない東欧や、安い食べ物はパンとピザしかない西欧を歩きながら、豊富な食材に溢れ美味い物を腹一杯食べられる街を夢見ていた。そんな街にやっとたどり着いたというのに、愚かな私の胃腸は滋養溢れる食物を受け入れない。今日も慣れ親しんだパンとピザのみを食べることになった。

<2006年7月4日>

<バラとクトゥビアのミナレット>

モロッコの撮影でこんなに苦しむとは思わなかった。

観光客があまり訪れないエリアで趣のある場所をみつけ、カメラを構えると地元の人たちに制止される。
広場で撮影を求めてくるパフォーマーは金を払ってまで撮りたくない。(机上いっぱいに抜歯した歯を並べる路上歯医者も撮影用のパフォーマーだった)
魅力的な子どもはいくらでもいるが、親や周囲の大人たちにガードされている。
そして建築物はどこもパッとせず。特徴のない建物とどこも同じでないかと思えるミナレット(モスクの塔)ばかり。

マラケシュのシンボルとも言えるクトゥビアのミナレットを撮ろうとしたが、塔だけでは何の面白味もない。せめて青空をバックにできれば映えるのだが今日は霞んでいる。
モスクの南側にモロッコでは珍しく緑溢れる公園があった。緑が多いのはマラケシュの特徴かもしれない。公園内で枯れかけた赤いバラをみつけたので添えてみる。(写真)
ミナレットの周囲を歩き回り何枚撮影したことだろう。もうモロッコを撮る気力はない。

モロッコは砂漠地帯を訪れないと魅力的な被写体に出会えないのかもしれない。マラケシュから砂漠への入り口となるワルザザートへ向かう予定だったが、腹を壊しバスに乗れるような体調でなかったため断念。明日は飛行機でパリへ飛ぶ。

[モロッコ]カサブランカ

<ハッサン2世モスク航空写真

<ハッサン2世モスクを望むメディナ>

昨晩は、メクネスでのホテル周辺がやたらとうるさかった。カフェテラスや路上で騒いでいるようなのだが、3時半の夜明け前のアザーンが流れてもまだ静まらなかった。酒も飲まずによく騒いでいられるものだ。騒音で寝られなかったせいか夜中に何度もトイレに行き、今日もお腹に力が入らない。
ヨーロッパで2ヶ月にわたるパンのみの食事に馴染んだ腹は、モロッコに入ってからの雑菌まじりのサラダや油の多い食べ物にまいったようだ。そのうち慣れると思うが、そのころはモロッコ観光が終わってしまうだろう。

カサブランカはただの大都市だった。

事前学習がなくツーリストオフィスが休みで情報不足だが、映画であまりにも有名なカサブランカをイメージする場所はない。見どころとしては世界で3番目に大きいハッサン2世モスクがあるだけ。都会のため子供たちと遊ぶ機会も少なく、メディナ内でカメラを向けるとヘジャブを被った女性たちは黙って顔を隠し(申し訳ない)、男たちは口うるさく注意してくる。私にとってまったく面白みのない所だが、こういう街だとわかっただけで良しとする。

港街カサブランカは気性が荒い人が多いのかもしれない。アラビア語圏では、あちこちで口ゲンカ(あるいは口論)が行われているものだが、ここでは掴み合いや殴り合いの喧嘩に何度も出会った。グループ同士の争いにやじ馬根性で近づくと、乱闘に加わっていた飼い犬が興奮して私に向かってきた。すんでの所で噛まれずに逃げることはできたが、よだれと共に(犬か人間のものかわからぬ)血糊をズボンにべっとり付けられてしまった。やはり争い事には近づくべきではない。

駅から乗ったバスで降ろされた場所がわからずおろおろしていた時、親切にもホテルまで案内してくれる男がいた。ニコニコしていたがいかにも怪しいやつだった。そのホテルが今ひとつ気に入らなかったので、決めずに出てくる。現在地がわかったのであとはひとりで探そうとして、礼を言って別れようとすると男の表情が変わった。
「そのホテルに泊まらないのならガイド代1ユーロ払え」
「なぜ払う必要がある?」
「それが私の仕事だからだ」
「でも、案内する前に説明しなかったよね。ありがとう。金は払わないよ」
この程度のことを言っただけで、男は顔を歪め罵言を吐いて立ち去った。

モロッコ人、そんなに淡泊じゃ仕事にならん、インド行って修行して来い。

[モロッコ]メクネス

<モスクで手足を清める参拝者>

<路地の子どもたち>

フェズからカサブランカに向かう途中にあるメクネス。ここも世界遺産に指定された古都だと知り、急遽、立ち寄ることにした。
モロッコはロンリープラネット・ヨーロッパ編におまけで付いていたページを頼りに観光しているため、情報不足による手探りの状態が続いている。メクネスのページには地図がないため、ツーリストオフィスの概念的な地図をベースにして地元の人に尋ねながら歩く。
フェズやタンジェでは、観光客ずれした人に嫌な対応をされる場面があったが、モロッコ人は柔和な顔つきで物腰やわらかく、基本的にやさしい。観光客が少ないメクネスでは、こちらから尋ねなくても親切に道を教えてくれる人が多い。

メクネスで話される言葉はフランス語になった。しかし、ある男が珍しく英語で話しかけ、複雑なメディナ内のポイントをガイドしてくれた。最後に予想通り土産物店に連れていかれるが店主の講釈だけを聞いて店を出る。すると、その男がガイド代として2ユーロ弱を要求してきた。私にとって彼のガイドがかなり役に立ち、あまりにも控えめな数字だったため一瞬心が動いた。しかし、軽く拒否して様子を見ていたら簡単に引き下がってしまった。噂で聞いていたインド人以上に押しの強いモロッコ人にはまだ出会っていない。

モロッコに入ってから、ヨーロッパでほとんどできなかった子どもたちとコミュニケーションできるようになったが、彼らの写真を撮るのはなかなか難しい。撮られたがっている子どもたちは多いが、近くにいる親や大人たちが許さない。親の承諾を受けてなんとか撮影していると、興奮して騒ぎ出す子どもたちを近くにいる大人が叱りつける。間接的に撮影者の私を注意しているようで、何度も怒られているうちに子どもを写す意欲が薄れてしまった。

メクネスの食堂でもタジンを注文した。今度はずいぶんと店の雰囲気が異なる。昼時だが客が少なく、店内には簡素な机と椅子がつまらなそうに並べられる。時間がかかるはずの土鍋料理があっという間に出てきた。鶏肉とポテトチップスだけだ。これはフェズのタジンと全然違う。野菜がないぞ。油が多すぎる。食べ始めてすぐ気持ち悪くなってきた。

[モロッコ]フェズ(2)

<なめし皮作業所>

世界一巨大な迷路フェズで知らない道を歩き大いに迷ってみようと思ったのだが、袋小路が多く結局同じ道に戻ってしまう。地図上で近くにあるはずのなめし皮作業所にたどり着けず、声をかけてきた男に連れて行ってもらう。一帯に近づいてきただけで、噂に違わず悪臭がすごい。客引きに連れて行かれたのは皮製品を扱う土産物店で、その屋上から作業所(上の写真)を観察できる。ここで見学料を支払うか店で買い物をしないといけないのだろう。しかし、この臭いをかいでしまうと皮製品を買う気がなくなるのではないか。
もとからその気のない私は店内見学につきあっただけで何も買わず、撮影料を取られることもなく店を出てくる。モロッコ人はあっさりしているなあ。インドでこのような状況であれば、何か買わなければ生きて店から出られないのではというほど脅されるのだが。

メディナ内の人通りが多い商店街を抜けると密集した建物と狭い道が続く住宅地がある。なめし皮作業所の近くを流れる川には篭に詰められたゴミが次々に捨てられていく。隣のユダヤ人地区の川では少年たちがプラスティック容器を持って水を汲みに来ている。メディナから3km先には現代的都市生活が営まれる新市街があるというのに、城壁で囲まれた狭い地域に密集して生活し続ける必然性があるのだろうか。

<路地内のお子さま>

食堂の屋上でメディナの路地を見下ろしながら、タジンと呼ばれる土鍋料理を食べた。よく煮込まれた鶏肉と野菜が口の中でとろける。これだ、こういう料理がずっと食べたかったのだと感激した。
猫が2匹、食事中の客にねだりながらテーブルの間を歩き回る。客の足に鼻をこすりつけ蹴り返されても、離れずに下から見上げているだけで、決してテーブルには上がってこない。
ところが、食事を終え手を洗おうと席を離れると、あっという間に2匹の猫が皿に残された鳥の骨と皮を奪い、テーブルの下に運んで静かにむさぼっていた。
よくしつけられた猫たちだ。

[モロッコ]フェズ(1)

モロッコの大きな駅には列車運行予定を示す電光掲示板がある。特にタンジェの駅舎は新しく切符販売は迅速で、駅だけ見ると、スペインやフランスよりも進んだ国かと思ってしまう。
駅の案内所で時刻表をもらう。B4サイズの用紙1枚両面に印刷されたスケジュールがモロッコ鉄道の全てなのだろう。主な都市は1日4~8本は走っている。モロッコ国内の移動は鉄道中心で大丈夫だということがわかった。
タンジェを9時に出発、途中乗り換えで1時間待ち15時にフェズに着く。車内は東欧より清潔でイタリアなみ。

フェズのメディナは世界一複雑な路地が広範囲にわたると言われるため、2泊して1日半は歩き回ろうと思っている。そのため、今日は下見のつもりで気の向くままに歩いてみた。
確かに規模は大きそうだが、他のイスラム諸国のメディナとそれほど異なる部分はみつからない。屋根が架けられた路地が多く、人通りが多い所は蒸す。そして、時々、屎尿の強い臭いが漂う。こんな所を観光で歩くなんて余程の変わり者だ。
「コンニチワワ。コンニチワワ?」
日本語で声をかけてくる人がよくいるが、誰から教わったのか変な言葉を発する者がいる。「『こんにちは』は挨拶の言葉だ」とツッコミたくなる。
揚げ物、なつめやし、くるみなどを買い食いしても1ユーロに満たない。道を間違えれば、そっちは行き止まりだと教えてくれる。路地の両側からみつめている街の人々の目はあたたかい。メディナの路地めぐりがだんだん楽しくなってきた。

食費を押さえるため、これまで西ヨーロッパではスーパーで買ってきた素材で食事を済ませるという旅らしからぬことを行ってきた。しかし、モロッコは庶民的な店を選べば安く食事できる。新市街にとったホテル周辺の表通りでレストランを探した。ヨーロッパのカフェバーを真似た気取ったスタイルの店が多い。歩道に出されたテーブルで、客は粉塵のあがる車道を向いてコーラやジュースを飲むだけで誰も食事していない。それで地元の人たちで混雑している裏通りの暗く汚い店に入った。
トイレ紙風の固いナプキンの上に置かれたパンに休みなくハエが群がる。ハエを追い払いながら丸く平たいパンの表面をつまんでいたが、メインが来たのでパンをちぎり取ろうとして持ち上げた。するとパンの裏側に親指以上の大きさの黒い固まりが。何だろうと目を近づけると、もぞもぞ動いている。ヒエー、先に食事中の虫だ。平たいパンの表裏を虫と食べ合っていただなんて。

清潔だが物価が高い国と物価は安いが不衛生な国、旅行先としてどちらがいいのだろうか。

[モロッコ]タンジェ

<タンジェのメディナ内(2枚組)

1時間半のフェリーの移動でモロッコに入る。さすがに雰囲気の変化は感じるが、タンジェはヨーロッパの延長上にある。東欧の国に来たぐらいの気分。
スペイン南部なみの値段で質が若干落ちたホテルに部屋を取り、メディナに向かう。メディナに近づくに従い、日本人かとかガイドは要らないかと声をかけてくる男が増えてきて、やはりここはヨーロッパでないなと感じてくる。
メディナで路上で戯れている子供たちと仲良くなり写真を撮っていると、大人たちに囲まれ金を払うよう迫られる。彼らは、公用語のアラビア語、フランス語以外にスペイン語と英語も話す。どの言語も理解できない振りをしてその場を逃げる。
その後もカメラを持って歩いているだけで、少年や大人たちが寄ってきて意味もなく金を要求する。
モロッコ、ちょっとガラ悪いんじゃない。