イエメンのたび

部族社会の古風な人々(サナア)

<サナア旧市街の入り口 サナア門>

アラビア半島の先端に位置するイエメンは古くから交易で栄えた国だが、他のアラブ諸国と異なり石油が産出されないため周辺国と比べ貧しい。昔からの部族社会を引きずっており、現在も政府の力が及ばない地域がある。そんな発展から取り残された国には、数百年もの間続く建物や街並、そして暮らしがみられる。
イエメンの首都サナアの旧市街はお菓子の城のような建物が並ぶ。城壁で囲まれたこの地域では、何世紀も前に建てられた搭状住宅が密集する。サナア旧市街は世界遺産に指定されているため、建物は傾いたまま使われ、道は細いまま迷路のように入り組み、あちこちに昔から続くスークがある。
建物の窓や壁面には中世のデザインが施され、輪郭を強調するように白く塗られている。そんな旧市街を歩く人々も華やかに見えるが、大半の男性は白い民族衣装に紺色のジャケットという、ほとんど同じ出で立ちをしている。そして、腰の正面、お腹の上にジャンビーアというJ字状に曲がった30cmほどの刀を差して正装としているのだ。
日本であれば着物を着て日本刀を差して歩いているようなものだから、何とも古風な人々である。

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