イエメンのたび

道は続いている(マナハ、ハジャラ)

<落石で塞がれるマナハからの道(作業員の頬がカートで膨らむ)

<マナハから遠望する要塞村ハジャラ>

サナアから約100Km、チャーターした車で峠道を走るとマナハへ着く。地方では部族間の抗争が続いているイエメンでは、車でサナア郊外に出るために政府から許可証を取る必要があり、地域や時期によってはテロの多発により許可されない。
ハジャラは深い谷を挟んだ対岸にあった。時々、雲でかすむこともあり、果てしなく遠いところに見える隣村である。マナハからハジャラへの道は、谷を大きく巻くように伸びている。しかし、その未舗装道路には何台も数珠繋ぎになった車が停車していて動く気配がない。どうやら落石で道が塞がれ、開通の見込みがたっていないようだ。
せっかく車をチャーターしてここまで来たのに、私は頭を抱えた。良くあることだと暢気に言う運転手に、じゃあどうすれば良いのだと尋ねる。
『なあに、車が通れなければ歩けばいい。道は続いている』
そうか、落石で道が途絶えたわけではない。車が使えないだけなのだ。距離は5Km程度、上りをみても1時間あれば着きそうだ。ガイドを兼ねているはずの私の運転手は、車が通れるようになったら迎えに行くよ、と全くやる気がない。私は、1人でハジャラに向かうことにした。
ホテルや街の人たちが、ハジャラへはガイドと行くべきだ、私が一緒に付いて行こうかと申し出る。しかし、敢えて別のガイドを雇う必要はない。道のほとんどがここから見えているのだから。私は彼らに応えた。
『大丈夫、迷うことはない。道は続いている』

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