[ジョージア]トビリシ

トビリシはナイフなどによる傷害を伴う強盗が多く安全でないという『外務省安全情報』を読んでしまったから、そういう目でこの街を見てしまう。駅前は物乞いが多く、いかにも旧ソといった暗い表情の男たちにじろじろ見つめられ危険を感じる。

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夜行寝台でトビリシに入った。2等寝台の車両はウズベキスタンで乗った寝台車と全く同じつくりで二段ベッドの向かい合わせ。そして、今回も恐怖の上段ベッドになってしまった。何が恐怖って、上段ベッドというものは天井からつるされたひもか柵が付いているものだと思っていたが、この寝台車の上段には転落を防止するものが何もない。ちょっと揺れただけでも簡単に下に落ちてしまいそうなのだ。
ウズベキスタンの寝台車では、シーツをロープ状にして、壁に付けられた取っ手と自分の胴体を結びつけて眠っていた。しかし、今回の寝台車にはシーツがなく(有料で配布されていたことを後で知る)、壁の取っ手が壊れていて対策のしようがない。熟睡しないよう気をつけながら、体を壁側に押し付けて横になるしかないのだ。

寝台列車が国境を越えるのに出入国合わせて3時間停車する。ジョージア(グルジア)側の駅から列車が動き出し終着トビリシまであと1時間という時、トイレに向かうため車掌室前を通ると、テーブルに1.5Lのビールボトルを置き完全にできあがった車掌に絡まれた。彼らは、どこの国の人でも少しぐらいロシア語を理解できると思っているから疲れる。あんたが英語の数字も言えないくらい、我々はロシア語はわかりません。

危険だと思っていたトビリシだが、目抜き通りに出るとぐっと垢抜け、バクーと比べ驚くほど美形の女性が多い。食堂や食品店は明朗会計でバクーのようにぼられている気はしない。

旧市街は教会が多く、なかなか良い雰囲気。
聖体礼儀を行なっている教会に入ると、髭面や見た目ワルそうな面構えの青少年が十数人、窮屈そうに後方の角に固まっていた。いったい何をしているのだろうと気にしていると、神父の聖体礼儀の後にその男たちが聖歌を始めたのだ。キリストやマリアの絵が控えめに描かれた教会の壁を撫でるように、彼らの美しいハーモニーが流れていく。
街の人々に交じり迷彩服姿の若者たちも真剣に祈りを奉げる姿をみていると、信者でない私までも清らかな気持ちになる。

信仰厚い人たちが多い街で凶悪な犯罪が許されるとは思えないのだが。

<2007年6月11日>

<メテヒ教会航空写真/街中の古い教会(2枚組)

街中に川が流れ、崖や丘の上に教会や城跡があり、石畳の道や赤い屋根の家並がある。中欧や東欧の古い都市の典型的パターンだ。メテヒ教会周辺(写真表)の気持ちの良い空間が気に入っていたが、他のエリアを歩き回っているとどうも広がりというか奥行きが感じられない。ジョージア(グルジア)正教の教会がどれもシンプルで同じ形をしているせいだろうか。

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