[ネパール]カトマンズ

標高1,300mのカトマンズには多少なりとも清涼感があると思っていたがとんでもない。とにかく埃っぽい。

旅行者が多いタメル地区などでは、狭い路地を古い車やバイクが走り回り、排ガスの浮遊が耐えられないレベルに達している。寺院が集まるダルバール広場には車が入ってこないが、ハトのフンのせいなのか鼻や喉が常にむずむずする。古い寺院そのものから埃というかアレルギー性疾患を誘発する微粒子が発生しているようだ。

また、ミニトレッキングと称してカトマンズ近郊を歩いてみたが、そこは登山道というより山村のあぜ道や農道であり、あちこちで堆肥のにおいがして乾燥した大地から巻き上がる細かな砂に苦しめられる。

ネパールは6月から9月前半まで雨季で5月後半になるとヒマラヤが見えるチャンスは非常に小さくなるということを承知で来ている。初めて訪れる国はいつも下見だと思っているので最適なシーズンに旅をするというこだわりはない。

<パタンのダルバール広場>

下見の旅ではあるが、カトマンズは10USD前後でシングルに泊まれるので、ゆっくり滞在して面白そうなところを見つけるつもりでいた。ダルバール広場やスワヤンブナートなどカトマンズ内の観光スポットをいくつか訪れ、郊外のパタンにも出かけてみたが、どこもイマイチ。仏教寺院は好きなのだがすぐに飽きてしまった。

<ドゥリケルからパナウティへのミニトレッキング(2014年5月31日)>

雨は降っていないが湿気が多くヒマラヤが見える気配はないため、今回は大金を払って本格的なトレッキングをするつもりはない。ただ、トレッキングの雰囲気だけは味わってみたかったので「地球の歩き方」に載っていた日帰りコースを歩いてみる。

<ミニトレッキング中の眺め(2枚組)

カトマンズの宿を8時30分出発。カトマンズからドゥリケルまでバス1時間30分で55NPR

ドゥリケルを15分ほど徘徊後10時50分出発。11時30分にカーリー寺院(ルート)。見晴らし良いがヒマラヤは見えない。

出発が遅れているので急ぎ足。この先近道しようとして細い道に入るが迷う。GPSを頼りに強引にそれらしき方向へ進み、あぜ道や農家の私道を渡り歩く。ほどなくして車道に戻り12時10分カブレの食堂とバス停通過。そこから先は起伏のある固いダートロードを延々と歩きナモーブッダに13時40分着。

ナモーブッダには参道があり展望所に行けるようなので、大勢訪れていた現地の若者たちと競うように急な坂を登る。この丘の頂上部(航空写真ルート)には寺院の施設がいくつかあったが工事中のところもあり何が何だかわからずうろうろして戻る。眺望は良いのでヒマラヤが見えるならぜひ登るべき。

この参道で大分疲弊して食欲がなかったので、何軒かあった食堂に立ち寄らず14時20分ナモーブッダ出発。

この後もダートロードの車道を下るとサンサン(Sunthan)のバス停(ルート)らしき場所でバスが発車していくのを15時15分ごろ目撃して、そのまま農村の車道を延々と歩き16時10分、予定より早い時間にパナウティ到着。さすがに腹もへってきたので早めにカトマンズへ戻りたい。

川を渡って寺院を見学して町中を歩き大通りに出た16時30分、こちらに向かってくるバスを発見。車掌に「カトマンズ?」と尋ねると「カトマンズ」と答えるのでガッツポーズで徐行するバスに飛び乗る。(ここまでのGPSログによるKMLルート

合計5時間40分、距離20kmで上りの累積標高差900m、下りは1,000m。結局ほとんど休憩を取らずがむしゃらに歩いた結果なので、ガイドブック通り8時間はみておいた方が良さそう。

行き先を確認して乗ったバスはカトマンズ(Kathmandu)行きでなく、Khopasi行きで逆方向に連れて行かれ15分後の終点で誤りに気づく。車掌と行き先を言い合って確認したはずなのに最初の”K”しか合っていないじゃないか。そのバスが折り返すのを待ちパナウティに戻る。(パナウティのカトマンズ行きバスターミナルまでのGoogleマップによるトレッキングルート

パナウティからはバスで1時間30分、60NPRでカトマンズに戻る。

<トレッキング中出会った子どもたち(2枚組)

ナモーブッダの参道以外は自転車で走れるはずなのでマウンテンバイクで回れば快適だと思うが、これら農道や林道を何時間も歩くのは路面が固く膝や腰に堪えるだけなのでお勧めではない。

ただ、このルートでは入場料など一切不要で、かかった費用はバス代115NPR、途中で買った高価な水50NPRと間違って乗ってしまったバスの往復30NPRだけで(私の場合)合計200円ちょっとで丸一日山村歩きができたのは、ネパールならではという気がする。

時間に余裕を持ってもう少しゆっくり歩けば、かわいらしいお子さんに会ったり、村人との出会いがあり、楽しいハイキングになるのかもしれない。

<参考図書>D29 地球の歩き方 ネパールとヒマラヤ 2013~2014 => 最新版 2018~2019

[ネパール]ポカラ

昨日ポカラに移動して2日目の朝、ホテルからヒマラヤの山々が見えた。

今回のネパールの旅は雨季に入ったためやむなしとあきらめていたが、やはり見えると感動。
ポカラから望めるヒマラヤの中で最も特徴的な山容のマチャプチャレ(6,993m)。まわりに無数のパラグライダーが群がるように飛んでいた。

<マチャプチャレ>

山が見えるならばとヒマラヤビュースポットのひとつ、日本山妙法寺(World Peace Pagoda)を目指した。
宿から歩いて(水量少なくつまらなかった)デヴィズ・フォールに立ち寄った後、先へ進み舗装の主要道路を右折して土埃の上がる林道を登る。途中からは、日本の低山の登山道のようなハイキングルートを上っていくと白いパゴダが見えてくる。頂上部のパゴダ周辺からは湖を見下ろすことができ眺望良いが既にヒマラヤ山脈は雲に姿を隠していた。(この後もネパール滞在中、二度とヒマラヤを見ることはなかった)

主要道分岐から日本山妙法寺まで距離2.4km、標高差300mのハイキング(GPSログによるルート)。他に車道を歩いていたのは外国人旅行者2組だけで、現地人は車やバイクで頂上の近くまで登っているようだ。(その場合のルート
帰りはダートロードを下り、舗装された主要道路に出れば、どのバスに乗ってもポカラ市内に戻れるはず。

<フェディからダンプスへのミニトレッキング(2014年6月3日)>

ポカラでも入域料不要な日帰りトレッキングに出かける。

バグルン・バスパークから中型バスでフェディまで35分、50NPR。バス停すぐ近くに登り口がある。石段の区間が多く、民家を巡りながら登っていくような道。ダンプスの展望所らしき場所まで距離2.2km、標高差550mの登り一辺倒(GPSログによるルート)だが、途中の茶屋でのジュース休憩を含め1時間ちょっと。荷物がほとんどない軽装のためどんどん登っていったが、全般に歩きやすい道だった。
さすがに物足りなかったので、そこからほぼ平坦な車道を村の奥に向かって800mほど進んだが、農作業をしている人を見かけるだけで何も面白味がなかったため引き返す。

<ダンプスまでのトレッキング途中の眺め(2枚組)

ダンプスまでは車も通っていて(ルート)、展望所付近では中型バスでやってきた中国人団体客がはしゃいでいた。
ネパールでトレッキングした気になりたくて手軽なコースを選んでみたが、達成感なく、軽い運動がてらポカラ郊外の農村めぐりをしただけという感じ。(ダンプスからヒマラヤが見えていれば感想も違ったかも)

[ネパール]タンセン

ポカラからタンセンまで(ルート)のバス旅は楽しかった。(あとから考えると、今回のネパール旅でこのバス移動がハイライトだった)

乗り心地の良くない中型ぼろバスで、くねくねと曲がる山あいの道を飛ばして行く。舗装された道だが荒れていて、幅は狭く大型車とのすれ違いは余裕がないことが多い。急な崖につくられた道で峠を越えると村が現れ、またすぐ峠道となり、それを越えると集落が現れるということを繰り返していく。

このバスが食事休憩した峠の茶屋からタンセンへの入口となるバルトゥンまでの37kmのルートは、数百メートル下に流れる川を眺めながら進んだりとか今まで味わったことのない高度感を体験でき、これぞネパールの旅という気した。

<タンセンの町なみ(2枚組)

観光客があまり訪れない町に行けば、求めていたネパールらしさが見られる気がしてタンセンに立ち寄った。

ポカラからのバスを降りたバルトゥンからタンセンまでは乗り合いジープが通っているが、車道でも4km(ルート)ほどしかないので歩いてみる。「地球の歩き方」に点線で示された、町までショートカットするルートは地元の老人たちも歩く道なのだが、2kmで200m以上登る急傾斜。町中に入っても傾斜のきつい道ばかりで心拍数が高止まり。坂好きの私はわくわくしてきた。

しかし、他には小さな寺院がある以外、歩き回っても特に目に止まるものがない。アフリカやインドのような異国感は強くない、かといってかつての日本を想起させる情景があるわけでもない。いったい私は何をネパールに求めていたのだろう。

ま、あまり深く考えず、山を下りてルンビニへ向かうことにした。

<参考図書>D29 地球の歩き方 ネパールとヒマラヤ 2013~2014 => 最新版 2018~2019

[ネパール]ルンビニ

ルンビニは暑い。急に暑くなった。
午前中から40度越え、夜になっても30度から下がっていないのではないか(というぐらい暑い)。
エアコン付きの部屋を取ったのだが、夜は停電になり、暑さでのたうちまわる。少しでも涼を求め夜中にシャワールームに入ると、蛇口からはお湯しか出てこなくて手を濡らしてもアチチ状態。ホテル屋上の貯水タンクで熱せられてしまったのだろう。

ネパールは国全体が山岳地帯というイメージがあるが、ポカラから南に下りインドとの国境手前30kmのブトワル(タンセンからルンビニへのルートの中間)で山岳地帯を抜けインド大平原に出る。
ポカラが800m、カトマンズタンセンでは1,300mだった標高がルンビニで100mと急激に下がる。その標高差以上に暑さが厳しく、まるで別世界へ移動してきたような気分だ。

<マーヤ-聖堂/オーストリア寺(2枚組)

四大仏跡のうちサールナートだけは20年前に訪れているので、今回は残りの3つ、ルンビニー、クシーナガルブッダ・ガヤーを順に巡る。

サールナートは花や緑が美しく、古代に思いを馳せることのできる遺跡があり、人々の祈りの姿が見られた。と良い記憶ばかり残っているので、ブッダ生誕の地ルンビニは期待していたのだが、自分のイメージとはかなりかけ離れていた。

聖堂の跡や石柱など遺跡はごく一部で、歩き回るには広すぎる聖園内には最近作られた池や運河、そしてたくさんの寺院。
各国の寺院は競うように立派でそれぞれのお国の仏教建築を表現しているようだが、そのようなものを見にルンビニまで来たのではない。ブッダや原始仏教に触れたくて訪れているのだが、素っ気ない聖園(航空写真は聖堂のある南端部)内には見つけられない。ただ、中国人やインド人を中心にした大量の外国人旅行者に接するだけだった。

聖園の外に出て田園や集落を訪れれば、何かしらこの土地らしさに触れられそうだったが、暑すぎて気力出ず断念。
中国人団体客は聖園内もエアコンがガンガン効いたバスで移動していて、とてもうらやましく感じた。猛暑の時期はツアーで訪れた方が良さそう。

[ネパール/インド国境]スノウリ

かつては強盗や詐欺が多いと悪名高き国境だったが、今はその面影もなくあっさり通過。
国境を越えると、ネパールと比べてインドはなんて生活レベルが高いのだろうと感心してしまった。

<ルンビニからゴーラクプルまでの国境越え>
  • ルンビニからバイラワ(シッダールタナガル)まで路線バスで1時間、50NPR、終点バスターミナルで降りる。
  • ポカラから国境まで続くハイウェイまで移動して、バス停らしき人だかりのある場所でスノウリ行きを捕まえる。たまたまかもしれないが、中型バス内は東京の超満員電車なみの混雑。そんな中でも車掌が最後部にいる私のところまで必死に手を伸ばしてきて料金徴収。とてもつり銭を返せる状況ではなかったのであきらめかけていたが、終点で降車時に6NPR返却される。乗車時間はほんの20分、14NPR。(ルンビニからスノウリまでのルート
  • 降車するとすぐ近くに小さな両替ボックスがあり窓口へ向かうと横からどかどかと割り込んでくる者がいる。しかし、ボックス内のスタッフは彼らを手で退けて先に私の両替を受け付ける。ネパールルピーからインドルピーへ全く問題ないレートで両替。出入国審査はゲート近く左側にあり、あっさりと通過。
  • 国境ゲートを越えてインドに入ると急に垢抜けた街なみになる。(気のせいかもしれないが、ネパールと比較するとそう感じる)
    インド側出入国審査場は、100mぐらい歩くと店に挟まれて左手に突然現れる。看板はいちおうあるが、Kioskかパチンコ景品交換所のようなので見逃してしまいそう。外で長々と入国カードの記入をさせられるが特に問題なく処理される。インドVISAは日本で取得済。
  • 国境から500mすぎ右手に小さなバスターミナルがあり、停車しているバスが12時発ゴーラクプル行きだと言われる。シートが横2+3席であること以外は日本で走っていても不思議でない、ごく普通の大型バスだが、ネパールでは乗ることがなかった洗練された車体に感動。さらに乗客がまだ数人しか乗っていないのにほぼ定刻に出発して驚く。
    出発してから1時間後に運転手と車掌のみが食事をとる20分の停車があり、15時30分、ゴーラクプル駅南口から300mほどのバスステーションに到着、92INR。(国境からゴーラクプルまでのルート
  • バスでゴーラクプルの町中に入ってくると、道に車、バイク、リキシャ、人が溢れ、ただならぬ雰囲気。バスを降りてから、ゴミゴミ、ゴチャゴチャとした混沌に加えて悪臭、粉塵に襲われ気絶してしまいそう。車やバイクを避けながらゴミ溜めや穴ぼこに気をつけて人をかき分け100mも歩くとどっと疲れる。これがインド大都市の平均的姿なのだろう。
    ネパールから移動してきて一瞬勘違いしてしまったが、インドは決して洗練されていない。

[インド]クシナガラ

<大涅槃寺とニルヴァーナ・ストゥーパ航空写真/涅槃像(2枚組)

四大仏跡のひとつでブッダ入滅の地クシナガラ(クシーナガル)。

町はこぢんまりとして見所は限られているので、ここに宿を取らなくても十分観光できる。
ラマバール・ストゥーパとその周辺はパスしてもよさそうなポイントだが、大涅槃寺周辺(航空写真)はそれなりの雰囲気があり、インド人の家族連れ観光客が多く楽しめた。

猛暑のこの時期は日本人など外国人ツアー客がほとんど来ないため、ツアー客用の立派なホテルは閉鎖していた。食堂や露店は地元客向けに開いているという程度で街歩きは楽しめない。

<クシナガラからパトナへの移動>
  • クシナガラで街道に出たがバスが来なかったので代わりに乗り合いオートリキシャでKasiaまで、すぐ近くで2km、5分、10INR
  • バスターミナルでDeoriaまでのバスはないと言われミニバスに押し込まれるがなかなか人が集まらず。そのうち大型バスがやってきて9:45にKasia出発。Deoriaまで1時間、33km、33INR
  • コルカタ行き普通列車が13:13にDeoria出発、18:07にHajipur到着、190km、80INR
  • Hajipur駅から乗り合いオートリキシャが次々と発車していて18:21に出発。パトナ駅まで20kmだが渋滞激しく19:37到着、50INR。(クシナガラからパトナまでの全体のルート

[インド]ブッダガヤ

<マハーボディー寺院(大菩提寺)の菩提樹>

<マハーボディー寺院>

ブッダガヤは大観光地。
地元の人たちはオフシーズンだと言っているが、インド人参拝者や外国人観光客で賑わっている。

メインとなるマハーボディー寺院(大菩提寺)はまあまあ立派で敷地内には熱心に祈り続ける人が見られ、厳かな気持ちになる。
仏陀が悟りを開いた地、仏教最大の聖地なのだから、もっと巨大で仰々しくても良さそうだが、程よい大きさですっきりとして好感が持てる。
しかし、観光客が大量に押し寄せるピークシーズンは、収容スペースが十分でないため落ち着いて拝観できないのでは。

大菩提寺の周辺には他の聖地と同様に各国の寺院が点在しているが、現地の町と融合しているため、ルンビニやクシナガルと違って街歩きを楽しみながら寺院巡りができる。

日本人観光客を見かけたのはポカラ以来。到着したばかりの旅行者に数人の男たちがつきまとい、応じている旅行者のテンションが上がっていく様を傍でみていると面白い。旅行者の声が大きくなるとインド人たちは更に興奮して鞄を引っ張るなど手荒な行動を取っている。
ブッダガヤは日本語使いも多く、ツアーのを勧誘などしつこくつきまとってくる輩が何人かはいたが、インドの観光地ということを考慮すれば気にならない。(閑散期なのですご腕の商売人は休んでいたのかも)

<ブッダガヤの姉弟(2枚組)

土産売りのスレた子どももいるが、(インドとしては)驚くほど無垢な子にも出会える。さすが仏教の聖地。
ブッダガヤ周辺にはのどかな農村が広がるので、食事がうまければ何日かのんびり滞在したいが、私の口にはあまり合わなかった。

<前正覚山トレッキング>

前正覚山は、ブッダになる前(悟りを開く前)のスィッダールタが6年間修行していたとされる山。ブッダガヤに来たらぜひ訪れたいと考えていた。

信用できそうな土産やの主人が「町中で声をかけてくるバイクに乗っていくと襲われることがあるよ」と忠告していたのでホテルを通してバイクをチャーター、少し高めで600INR。バイクでぐるっと回り、ほんのちょっとだけトレッキング。(GPSログによるルート

ミャンマー寺のある三叉路を右に曲がると500mほどの長い橋を渡りスジャータ村に入る。橋を渡った後、バイクは左に折れて北へ向かったが、南西方向に200mほど進むとスジャータ・ストゥーパがある。三叉路からだと1kmほどで徒歩圏内(ルート)。その先の集落を探索すれば何かあるかも。

バイクは北東に進みトトロの木(航空写真)と呼ばれるガジュマルの巨木に寄る。三叉路からは3.2km(GPSログより)。
その後、バイクを下ろされ、枯れ川を渡る。バイクは砂に車輪を取られかなり苦労している様子。渡河した後再びバイクに乗り、農村の集落を抜け、道なき道も走りながら前正覚山の参詣口に着く。ここまでトトロの木から4.3km(GPSログより)。

物乞いも参詣者もいない参道を上っていくと、標高差80mほどでチベット教寺院があり奥にスィッダールタが修行したという洞窟がある。清めていた寺男が中に案内して説明してくれる。
平原からぽこりと盛り上がった独特の山容の前正覚山、そしてその中腹にあるそれらしき洞窟。ブッダ誕生のくだりを様々な書物で目にしたが、伝説とも思える話しを裏付けるようなスポットに立ち感慨深い。

山頂を目指してそれらしき道を進んで行ったが、道が途絶えてしまう。踏み跡はあちこちにあるのだが、大きな岩や固い茨の木が道を塞いでいる。
強引に上まで登ると頂上部は細長く、山頂の標識などは特にないので、GPSで最も高い地点を探ると標高332m。バイクを降りた参詣口からの標高差は200m、距離は1kmになる。
頂きにはすがすがしい風が吹き、広大な大地の眺めが心地よい。こんな素晴らしい観光スポットなのに人の姿はなく、見下ろす大地には素朴な農村の風景が残っている。

<前正覚山頂上からの眺め/セーナー村から眺める前正覚山(2枚組)

頂上部にしっかりとした踏み跡があったので別の道を下ってみるが、それも途中で途絶え、無理矢理、洞窟まで下る。(オフシーズンで登山ルートが荒れていただけかもしれないが、頂上に登る際は、洞窟の管理者に事前に道を確認し方が良い)

帰りは、枯れ川を渡る砂地の多いコースをバイクが嫌がり、車でも走れる道を通ってブッダガヤに戻った。(前正覚山の参拝口からミャンマー寺付近までのルート

[バングラデシュ]ダッカ

雨のダッカはすごい。
降り方はさほどでないが、強い雨に打たれても打たれ負けず、ひたむきに活動する人々に驚かされる。

ダッカでぜひ見ておきたかったのは通りを埋めるリキシャと雨だったので、6月から10月だという雨季の始まりに訪れたのは予定通り。
ただ、7泊8日のバングラデシュ滞在のうちダッカ以外2,3ヶ所は訪れる予定だったが、ルンビニやインドの暑さで体調を崩してしまいダッカ周辺のみの観光となった。(しかも動き回れたのはせいぜい3日)

ダッカは広域にわたって人口が密集しているわけではなく、密集した地区や通りはまだらに散在して、公園や政府関連施設など巨大スペースが密集地を隔てている。そのため、観光スポットをいくつか訪ね歩こうとすると距離が離れており、雨が降ろうものなら密集地域は傘を差すのが困難でぬかるみや水たまりを避けるのも難しくなる。また、閑散とした地区はスコールに遭っても雨宿りする場所がなく、非常に歩きにくい街なのだ。

<屋台で雨宿り>

リキシャはダッカ渋滞の大きな要因になっているようだが、雨のなか徒歩での移動は極めて困難なためリキシャに頼らざるをえない。リキシャの屋根を閉じれば雨はほとんど入ってこないし、シートの前をビニールで覆ってくれたりする。
しかし、漕ぎ手は雨に打たれたまま。ビニールを頭にかぶったりマントのように背負う人もいるが全身は濡れている。
たくましい街の人々を撮影しようと、あえて雨が降る中、カメラを持って繰り出していたのだが、濡れた服で重労働するリキシャマンたちを見ているだけで辛くなってきて、虚弱な私はますます体調が悪くなっていった。

<雨のダッカ(2枚組)

ダッカのバスもすごい。
ダッカには二階建てから中型、ミニと様々なサイズのバスが走っているが、どのバスも運転が荒くバス同士やバスとリキシャの小ぜりあいは日常茶飯事。ダンパーやサイドミラーは落ちずに車体に付いていれば十分というくらいボコボコになっている車が多い。さらには車体の側面全体に凹凸があり、塗装がムラになってジーンズのストーンウォッシュのような味わいを出しているバスをよく見かける。
「一体どゆこと?」だったのだが、「ある日、ワタクシ見てしまったんです」。

大きな交差点の左折専用レーン内で中型バスが客集めのため停車していた。後ろに大型バスが来たが、道幅が一車線ほどのため抜くことができずクラクションを鳴らす。中型バスは客を乗せていて進もうとしない。すると、大型バスは無理矢理狭いスペースに頭をつっこみ車体を接触させる。仕方なく中型バスがそろそろと前進して歩道側に寄せる。大型バスはさらに側面をぐいぐい押しつけ、果てはガラガラと音を出し車体の側面同士をこすり合わせながら抜いていった。

こうやってダッカのバスはストーンウォッシュ化していく。

<ショドル・ガット(2枚組)航空写真

ダッカにいた1週間毎日雨が降っていたが1日中雨が降るということはなく、何時間かは止み間があり、またしとしと小降りの中でときおり30分か1時間スコールのような強雨になる。

オールド・ダッカ内にある船着場ショドル・ガッドを訪れたときは激しい雨が降っていた。
大型船が何隻も停泊している長距離船のターミナルには屋根があるが、その両端にある小型船の船着き場には屋根がない。対岸に渡る多くの乗客は傘を差しているが、手漕ぎ船の船頭たちは全身ずぶ濡れの雨ざらし。雨合羽のようなものを着ても良さそうなものだが、シャワーキャップをかぶるぐらい。ただ客とやり取りする紙幣だけはビニール袋に入れて守っていた。

しかし、そもそも、こんな強い雨の中、人力船で300mほどの対岸に渡る必要があるのだろうか。1km離れたところに橋がかかっているので、バスかリキシャで移動した方が楽なのではないか。雨は船内にもたまり、尻を付けて座ることはできない。小舟の乗客はひとりか二人が多い。人々はリキシャの感覚でこのリキ船に乗っているのだろうが、リキシャと違って出発地と到着地がみな同じなのだから大きめの屋根付き動力船で渡ればいいのに。
リキシャもリキ船も廃止すると漕ぎ手の仕事がなくなるというのが一番の問題なのだろうが。

<ナラヨンガンジまで小たび(2014年6月19日)>

せめて日帰りでもダッカの郊外に出かけてみよう。できれば鉄道で。ということで、ナラヨンゴンジ(ナラヤンガンジ)を訪れた。

ナラヨンゴンジ(Narayanganji)行きはダッカ駅に隣接した専用の駅から発車するので、切符はすぐ買え、乗る列車に迷うこともない。
ぎゅうぎゅう詰めで満員の列車は12:36発車。窓側の席を確保したため外を眺めていると、しばらく線路周辺にスラム街が続く。民家の軒先が列車の窓にあたりそうなほど接近している。毎日走っているのだからあたることはないのだろうが、屋根を押さえている大きな石がごろごろ転がって窓から中に入ってきそう。
とか楽しんでいたが、強くなった雨が車内に入り込んでくるため木の窓が閉じられ全く外が見えなくなる。50分でナラヤンガンジ到着、10BDT。(駅周辺の航空写真

<ナラヤンガンジの渡し船/沈みかけているようにみえる運搬船(2枚組)

駅で出会った日本語ペラペラの現地人の話から町に見所はなさそうなので、すぐ近くの船着き場に向かう。列車の小たびをしたので今度は船で小たびをしてみよう。こちらの渡し船はショドル・ガッドのものより大きく、日よけとなる屋根付きだがやはり手漕ぎ。対岸に渡るだけではつまらないので、動力船のフェリーで30分ぐらい移動してみたい。
百人以上は収容できるフェリーが出航しそうだったので行き先を確認せず乗り込む。乗客がみな軽装なので長距離船ということはないだろう。場合によって1時間ぐらいの船旅をしてダッカに近づけば、そこからバスで帰ればいいなと考えていた。

ところがGPSで確認すると、船はダッカと反対の南西へ進み、30分経っても寄港する気配がない。のんびりとデッキで川辺の景色を楽しんでいたが、心配になり周りの乗客に話しかけてみる。
この船はMotgon行きでそこまで6時間かかり、途中寄港するはずだがいつどこでかはわからないと言われ青ざめる。
しかし、船は出港から1時間後、最初の停船。1時間で13kmしか進んでいない。とにかく下船したが、近くに町も集落も見あたらないので、そのまま波止場で逆方向の船を待っているとラッキーなことに数分後、先ほどと同じ大きさの船がやってきた。また行き先を確認しないで乗り込んだが1時間ほどで無事ナラヨンゴンジ(Narayanganji)に戻る。ちなみにそこまでの運賃は片道25BDT

<雨の止み間のダッカ(2枚組)

帰りは船着き場の近くでダッカ行きのバスがすぐ見つかったので乗り込む。35BDT、約1時間(ルート)でオールドダッカ近辺に着いたのだが、あと数百メートルで終点という場所で渋滞によりバスはピタリと止まる。
雨がやんだので、乗客たちは次々とバスを降りてどこかに消えていく。大渋滞時はリキシャも動かなくなるので、しかたなく私もバスを降り歩き始めることに。
雨の直後はビルの屋根から落ちてくる大粒の雨にあたったり、ひどいぬかるみがあったりと難儀な道ばかりで、歩いているうちに腹痛がひどくなってきた。

ダッカはとにかく歩きにくい街なのだ。

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