[オーストリア]ザンクトギルゲン
<ツヴェルファーホルン頂上からの眺め(2枚組)>
目測を誤った。大幅に誤った。
ザンクト・ギルゲンのバス停近くにあるロープウェイの麓駅からは頂上駅が見えていた。険しい山を登っていくように感じたが途中に支柱は2本しかなく、ロープが大きく垂れ下がっていた。標高差200mぐらいか。これで往復17ユーロは高い。歩いて2、30分程度とみて、ロープウェイのパンフレットに載っていた大まかな地図を頼りに頂上に向かい登り始めた。
集落を抜けると、車2、3台分の幅で整地された林道が続いていた。案内板も時々設置されているため、この道を進めばまもなく到達するものと気楽に歩いていた。路面の凹凸が少なく歩きやすいが、かなり急な坂が延々と続く。
30分経った。高度差はほぼ正確に計測可能な腕時計で300m登っているが、まだ林を抜けていない。200mと思った頂上は意外と高かったんだ。標高差400m以上あったら日記に書いておかないと。その時はまだそんなことを考え、汗をかき始めていたが水も持たず、カメラだけぶらぶら提げてペースを落とさずに登り続けた。
500mを越え林をやっと抜けると、まもなくしてロープウェイが見えてきた。頂上駅がそこにあるのか。しかし、全体が見渡せるところまで出てきて愕然とする。まだロープウェイの支柱1本目だった。視界が開けて上方にロープウェイ頂上駅が見える。今度こそ近そうだ。標高差100mいや150mぐらいだろうか。ノンストップで550mぐらい登ってきたため、かなりばてていた。山小屋レストランが2軒あったが高そうだ。喉が大分乾いていたが、もう少し我慢しよう。相変わらずハイキングコースのようなのんびりした道が続いていたため、頂上に向けてスタートした。
麓で大きく誤っていた目測は最後まで修正されなかった。頂上を間近に見ながら、なかなか辿り着かない。そんなはずはないと思いながら登り続け、だんだん意地になる。最後は雪渓をトラバースしながらツヴェルファーホルンの頂上に到達した。麓駅からの標高差900m以上。1時間半かかった。(普通にゆっくり登れば3時間近くかかるのでは)
残雪のある頂上付近だったが、Tシャツ姿で顔や体中から塩が吹き出ていた。水なしでこれだけの高度差を一気に登ったのは初めて。
ヨーロッパ人には軽い散歩道のようだが、日本であれば本格的な登山に相当する標高差だったのだ。ヨーロッパのスケールは大きい。恐るべしヨーロッパ。