[イタリア]ヴェネチア

巨大なテーマパークのようによくできた素材だ。

迷路のような路地には車やバイクがなく飲食店や土産物屋が並び、細い運河を越える石橋が何度も現れ、その下をゴンドラがくぐり抜ける。華やかな屋台通りを歩いていたかと思うと巨大な広場に抜けたり、店のない静かな小道が突然、海の見える広い運河に出くわす。ヨーロッパの街や祭りの人混みの中を歩くのが好きな人にとってはたまらない場所だろう。
私も最初はわくわくして歩いていたが、だんだんと気が滅入ってきた。建物も水も汚く、写真を撮りたくなる場所がない。色が落ちブロックが崩れた古さを残したいというのはいいとしても、落書きをそのままにしたり、水の中にゴミが浮いたままにしておくというのは、世界有数の観光地を整備しようという気がないと思われる。また、例によりトイレは少なく、1ユーロと高い。唯一の交通手段である船やゴンドラに不当な値段をつけて観光客から巻き上げた金は何に使われているのだろう。食べ物も有名観光地だからと当然のように高いが、ここは普通の観光地と違いオフシーズンがないのだからコスト高にはならないはずだ。ピンハネしている胴元は誰だ。旅行者が少しでも気持ちよく観光できるよう還元すべきだ。

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毎回、食べ物が高いという話しばかりで恐縮だが、今日も食べ物がなく苦しんだ。パドヴァには駅から街の中心部方面に3キロの範囲にはこれといったスーパーマーケットがない。昨日、華僑とアフリカ系の怪しいミニスーパーはみつけたが、日曜日は休みだった。駅近くの裏通りには黒人があちこちでたむろしているが、近くには食堂はなく店は閉まっている。駅や表通りにあるSNACKやBARはサンドイッチが3ユーロだ。いったいこの人たちどこで何を食べているのだろう。

イタリアの安ホテルは朝食が付かないのが基本で、出たとしても食パンとインスタントコーヒーだけとか、エスプレッソコーヒーに合わせたように小さく硬い食パンのお菓子だけというのが今までのパターンだった。しかし、昨晩から泊まっているパドヴァの3つ星ホテルはビュッフェスタイルでパン、ハム、チーズに果物まで付いている。パンや取り皿がやけに小さいのが気になるが、腹持ちしそうな食べ物と水分を可能な限り補給しておいた。おかげで暑いヴェネチアにいる間、食事だけでなく飲み物も絶ち、トイレを我慢することができた。

イタリアでは安食堂で本場のスパゲッティを毎日たらふく食べるということをイメージしていたが、それは妄想にすぎなかった。それどころか、パンと水分を取れる時にまとめて吸収して、トイレも可能な時にまとめて済ませ、あとはじっと我慢するという動物的な忍耐を強いられるのだ。(予定していた以上の金を使えばいいだけなのだが)

ヴェネチアの鳩は馴れ馴れしい。子供たちに追いかけられても飛び立たず、陸上をスキップしながら逃げ回る。餌を与えている子供の腕にとまり掌にある餌を直接ついばんだり、サービスなのか腕を差しのばしただけでその上にとまったりする。
おいハトっ、おまえは手乗り文鳥か。

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