[フランス]ベルサイユ
フランスが誇る観光地であり、フランス国内で最初に世界文化遺産に指定されたというベルサイユ宮殿は期待していた。ヨーロッパで1番か2番目に良かったウィーンのシェーンブルン宮殿より知名度からいっても勝っているのは間違いないだろうと思っていた。それゆえハイシーズン週末料金で25ユーロという超高額パスを1時間並んで購入したのだが。
うーん、宮殿内は最低このぐらいないと許さないぞと考えていたギリギリのレベル。他の国でさんざん似たような施設を見てきた後だけにほとんど感動がない。ご自慢の庭園はさすがに広い。いや、広すぎる。歩いて見る大きさではない。しかし、パスを買ってしまっているのでひととおりポイントを回りたいし、有料乗り物に更に金を出すなんてとんでもないことだし、と歩き回っているとあっという間に1日は終わってしまった。
植物園かと思えるほどよく手入れされた木々や花々が生い茂り、エリア毎に変化のある良い公園だと思うが、これを十分の一に凝縮してもらわないと、日本人としては公園を鑑賞した気分になれない。
私は歩くのが好きで比較的得意だと思っていたが、公園のあまりの広さに膝や腰に痛みを感じてベンチで休む。大勢の家族連れが談笑しながら目の前を通り過ぎていく。本当に良く歩く人たちだ。恐れ入りましたヨーロッパ人。
ベルサイユ宮殿でチケット購入のため列に並んでいる時、私のすぐ前に2組の若いカップルがいた。そう、若かったのでアレが切れるのが早い。そして、2組のカップルというのはお互い刺激しあう。もう5分も間をあけずににチュッチュッ、チュッチュッとキスの応酬。至近距離で見せられるこちらにとって、それは目の前で鼻をかんだり淡をはかれるよりも不快だ。ヨーロッパではこんな下品な行為が許されるのだろうか。彼らのあまりのひどさによほど注意してやろうかと思ったが、ここは敵地。キスに対するこちらの人々の認識を私は理解していない。ここで私が声を荒らげて注意することは、もしかすると、「音を出してソバをすするな」と東京の蕎麦屋で外国人が怒鳴るのに等しいのかもしれない。せめて嫌煙権ならぬ嫌キス権を行使させてもらいたい。嫌キス権のバッチを胸に付け、下品なカップルに対しては黙ってそのバッチを突きだしてみせる。それが認知されてくると実は東洋人だけでなくヨーロッパ人の多くもその嫌キス権のバッチを胸に付けているかもしれない。
パリのホテルはネット上で最安値のKyriad HOTEL。安くて清潔な良い部屋だと思っていたが、このホテルにはエアコンがない以外にも問題があった。向かい側がミュージックバーで、スペイン民族音楽が休みなく続く。長時間の西日であたたまった部屋を冷やそうと窓を全開にしているからたまらない。周辺が住宅地なのに、これだけの大音響垂れ流し状態に苦情がないのが理解できない。
車内での携帯電話やヘッドホンステレオの騒音に嫌な顔すらみせないことからも、フランス人は音に対してかなり寛容なのだろうか。