[ガーナ]クマシ
<巨大マーケット前のケジェティア・サークル(航空写真)>
ガーナの首都アクラの北200km、18世紀アシャンティ王国の首都であったクマシが最初のマイナースポットとなる。
アシャンティ王国関連の博物館や王宮などは評価のしようがないレベルなのだが、西アフリカ随一とも言われる広大なマーケットとその周辺は圧巻。
美しさと活気に久しぶりに興奮してしまった。
1番上の写真はケジェティア・マーケット前の広場で、この反対側に何倍もの広さがあるブリキ屋根に覆われたマーケットがある。
それにしても何でも頭の上にのせる人たちだ。現金と子ども以外は全て頭の上にのせているのではないかと思えるぐらい。
狭い場所を移動するのには便利かもしれないが、頭上の売り物が簡単に盗られそうで防犯上の問題はないのだろうか。
市場内を歩いてみると危険はあまり感じない。理由のひとつはイスラームのスークのような体の密着や接触がないことだ。頭上に大きな荷物を抱えているため、体が触れ合うほど接近できないのだろう。また、私が安宿の部屋にかける鍵を探していたのだが、売り子たちに話しかけると皆穏やかに対応してくることから安全なのだろうと思った。(結局、鍵はみつからず。その後も鍵に不安のある部屋に泊まっていたが盗難には遭わなかった)
しかし、カメラをバッグから取り出すと周囲の様子は一変する。カメラを手に持っているだけで鋭い視線をあび、脅迫めいた声がかけられる。遠くの群集に向けてなのだがファインダーをのぞき込もうものなら、周りにいる人たちから攻撃的な態度を取られ、その場を離れざるを得なくなる。
そのため、マーケットのはじにある4階建ての屋上に上らせてもらい、人々の気にならぬよう、街の風景としての群集を撮らせてもらった。しかし、アップで撮影している時、母親に背負われた幼児に気づかれてしまい、不信を表す視線を向けられていた。(すぐ上の写真)
博物館ではスタッフがガイドしてくれるのだが、子どもたちが館内に入ってきて私と一緒にガイドの説明を聞きながらノートを取り勉強している。小学高学年ぐらいの女の子3人は熱心に説明を聞くあまり、私の前に割り込んでくるというかわいらしさもあった。
次の観光客が来るのを入口で待つ彼女たちから快諾を得て写真を撮った。無愛想な表情から喜んでいないような気がするが、決して嫌がっていたわけではない。
昨日、アクラの街中を歩いていた時、スコールに遭った。商品が引き上げられた路上屋台の狭い軒先を借り、バッグにカバーをかけたり傘を出したりしているうちに雨脚が強まり身動きできなくなった。車すら動きを止め危険を感じる滝のような雨の中、ひとりの老人がパラソルを差して私の近くに寄ってきた。そして、そんなところに立っていないであっちで雨宿りしなさいと200メートルほど先の倉庫を指す。強風を伴った雨で鞄の中にも雨が浸み込み始めていたところなので助かった。
大型の倉庫に入ると大勢の人々が床やベンチの上に腰掛け雨が上がるのを待っていた。暗闇の倉庫内でもたもたしていた私に、老人は先客を移動させてスペースを作り、私に座って待つよう促してくれる。それから雨は何度も強さを増し30分は続いた。この倉庫の主である老人にはいくら感謝しても足りない。
自分の目の前に困っている人を見つけた時、積極的に手を差し伸べ助けてあげる、それが本当の親切だと感じた。
クマシでも午後3時ごろ急に雲行きが怪しくなりスコールになった。2mぐらい張り出した軒先の下、じっくり待とうと段差に腰掛けると背後から大きな声がかかった。てっきり怒られたのかと思ったら、その男はそんな所でなく中に入って座れと、自分が腰掛けていた長椅子にスペースを作ってくれた。暗がりの屋内スペースは倉庫兼事務所として使われているようで、業務用ペンキ缶が積み上げられ、男は売上の計算をしていた。スコールが本格的になると軒下は吹き込む雨で完全に水浸しになり、通行人たちが大勢倉庫内に入ってくる。
そして30分後、雨が小降りになり、雨宿りしていた人たちは男に礼を言って外に出ていく。主は礼を言われても、顔も上げずにぶすっとしたまま電卓を叩いている。雨宿りしていた人が倉庫の品を持っていってしまう恐れはないのだろうか。
見知らぬ人への親切が当然のように行なわれている国では、犯罪など起こらないのかもしれない。
ガーナ人は無愛想でも、とても親切なのだ。
[首都]アクラ、 [通貨]セディ(2008年11月, 100セディ=約1円)
[公用語]英語、 [宗教]キリスト教45%、イスラム教15%、伝統宗教40%、
[入国ビザ] 必要、日本でマルチエントリービザ取得(1万円、シングルは8千円)
[歴史/概要]
15世紀にポルトガル人が渡来、金が豊富なことからゴールドコーストと名付けられ、その後デンマーク、オランダ、イギリスなどの進出が続き、金と奴隷貿易の拠点となる。当時の要塞がエルミナやケープコーストなどに残る。17世紀後半にアシャンティ王国が奴隷貿易で繁栄するが、のちにイギリスに敗れ植民地となり、1957年に独立。
ガーナ南部は熱帯気候で年間を通じて21~32度とそれほど暑くない。11月から2月が乾季で他は雨季。日本人にはカカオの産地として有名。黄熱病の研究をしていた野口英世博士は1928年にアクラで亡くなる。第7代国連事務総長のアナン氏はクマシの出身。
日本からアフリカまでのチケットに関して、西アフリカだけであれば日本発で1ヶ月FIX16万円程度からあるが、そこに東アフリカをプラスして更に1ヶ月を超えるとなると30万円以内も難しい。そこでマイレージで日本から香港までのチケットを取り、ケニア航空のサイトで香港発アクラIN、バマコOUTのチケットを購入(3ヶ月有効で料金1,750ドル、香港の旅行会社サイトで購入するより手数料分ぐらい安い)してナイロビでストップオーバーするという方法を取った。香港以外ではバンコク発があり、こちらは1,580ドル。その他、西アフリカIN、ナイロビOUTや南アフリカIN、ナイロビOUTといったオープンジョーも可能。日本発の香港やバンコクへの格安チケットと組み合わせれば有効なのでは。
≫≫(後日談)特に大きな問題なくフライトでき、機内のフライトアテンダントは明るく、旅行会社を通さずネットだけでチケット購入できる気軽さから、ケニア航空は機会があればまた利用したい。