[マリ]コロ

恐ろしい国に来てしまった。

町一番のホテル(Campement hotel)のトイレは庭の一角にある壁で囲まれた青空トイレ一つだけ。扉がないので誰かのケツを見た時に利用中と判断するしかない。(こちらの女性は自分のスカーフを入り口近くの壁にかけて存在を知らせる)
トイレには電灯などない、水も出ない。手洗いできるのは、これも唯一つのシャワールームで頭上から流れ落ちる水で手を洗うしかない。シャワールームには扉があるが、大きく開いた鍵穴の跡から利用者が何をしているかよくわかる。
そして、夜中の12時になると電気が止まり、懐中電灯をつけてもトイレにたどりつくのが困難。シャワールームの唯一の蛇口からは水が出なくなった。
電気が止まり暑く、更にベッドが汚すぎて寝付けられないとかどうでもいいくらい、トイレと水の問題は私には大きかった。(それでもアフリカでこのレベルはまだましなんだろうな)

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koro

食事もまた問題だった。ホテルでも食事を出すというので調理場をみせてもらったが、完全にアウトドアで、スタッフや家族の料理の余りを客に出すという雰囲気が感じられ敬遠した。だいたい、暗闇でのアウトドアクッキングでは大鍋に虫が入り放題ではないか。

食べ物を探して小さな町を歩き回ったがレストランはない。もう贅沢を言わないからせめて屋根のある場所で食事したかったが、それすらかなわぬ夢だった。
結局、今まで避け続けたアフリカ屋台モノに手を出すしかない。スパゲッティとチキンがあるというのでその屋台を選択した。(右写真)スパゲッティはぎりぎり食べられる味とみてくれ。チキンは骨に薄く肉が付いているだけだが、堅くしまった肉が意外にもいける。

容器はろくに洗われてなく衛生面は非常に問題あるので緊張しながら食べる。屋台の回りには暗闇の中、何人もの男の子たちが集まっていた。彼らはみな空の小さなバケツを首から紐で吊るし、食事中の私を近くで見守ろうとして位置取りで争っている。すると店主や他の大人たちに怒鳴られ追い立てられるのだが、すぐにまたそろそろと集まってきて怒鳴り散らされる。

私はなかなか集中して食事することができず、チキンは骨からはずすのが面倒になり僅かな肉を残し止めた。だんだん気持ち悪くなってきたスパゲティーは全部食べ切れなかった。店主に怒られ男の子たちが退散したところを見計らい、私がお勘定と言って立ち上がった瞬間、背後に残っていた子供が手を伸ばして皿を取り上げ、首から吊るしたバケツに残飯を素早く入れた。

前回のマリ旅行時、ドライブインの食堂で似たようなシーンを目撃していたためこのような事態は予想できた。しかし、二皿の残飯を手に入れた少年は、悲壮感などなくむしろやったと喜びの表情を浮かべているのが衝撃的だった。私の食べ残しが家畜の餌にでもなると思いたいところだが、間違いなくその子か家族の口に入る。

ああ、恐ろしい国に来てしまった。

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