<カスバの明るい子どもたち(2枚組)>
明るい空き地で戯れる子どもたちの笑顔をみていると、この国は平和に戻ったかのように感じる。しかし、テロ組織が完全に鎮圧されたわけではないという。そのためか、飛行機搭乗時のテロに対する警戒ぶりは尋常ではなかった。
在日大使館でビザ取得時、国内の移動は陸路を使わないよう忠告されていたため、距離のあるコンスタンティーヌには空路を使った。アルジェのホテルで出会った旅行者が、必ず3時間遅れる飛行機はやめた方がいいと言っていたが、私の場合も行き帰りともきっちり3時間遅れた。今すぐにでも出発しそうなアナウンスをしておきながら、ロビーで1時間、出発待合室で1時間、搭乗バスに乗せて立たせたまま30分と待たせるので、たちが悪い。これはテロ対策で、十分すぎるほどに時間をかけて荷物や人物、機内のチェックを行なっていることが主因のようなのだ。
アルジェからパリへ向かう国際線もどうせ遅れるだろうと思い、空港に1時間半前に着けば十分かと思っていた。空港バスの遅れで1時間20分前に空港に着いたが、全くあせっていなかった。
チェックインカウンターが閉じていたため早すぎたのかと思ったが、しばらく待っても始まる気配がなく搭乗客も集まらない。おかしいと気づいたのは出発1時間前で、航空会社のオフィスで尋ねると、国際線は1時間半前で締め切る決まりになっているので、搭乗できないと言われる。
なんたることだ、決定的な失態である。代替のチケット購入に十万円以上払わされるのだろうか。私はどのような言い訳あるいは言いがかりをつけようか考え始めていたが、その必要はなかった。
「大丈夫、直行便はないですがマルセイユ経由でパリに入れます。日本便の乗継も間に合いますね」
「えっ、替えてもらえるんですか」
すんなりと代替便に変更してもらえた。格安チケットで乗り遅れたのに、寛大な航空会社だ。
余裕を持ってマルセイユ便のチェックインを始めた私は、1時間半前に完全に締め切られる訳を理解した。パスポート、ボーディングパスなどのチェックポイントが数多くあり、その度に列に並ばされ時間がかかる。機内安全のためにあらゆる項目を厳重にチェックするのであれば理解できるが、同じ項目を何度も重複して確認しているのである。
やっと、機内へ向かうバスに乗ったが、搭乗機の手前でバスを降ろされ、機体の近くに停車する別のバスに1人ずつ乗せられる。そして、バスの入口でチェック、バス車内で3回目となる荷物チェック、そのバスを降りる際にもまたチェック。機内搭乗時にボーディングパスとパスポートを確認されたのが実に16番目のチェックポイントだった。これでは1時間半でも時間が足りない。
ぐったりと疲れ、アルジェリアはやはりアフリカだと思った。