[ベネズエラ]プエルト・ラ・クルス
オランダ語圏(キュラソー、スリナム)やとても英語には聞こえない英語圏(ガイアナ)を通ってきた後で、突然、ほとんど英語の通じないスペイン語圏にやってきてしまった。
メキシコやキューバであれば、英語だけでも旅ができそうだが、ベネズエラはホテルでも中級以下ではほとんど英語が通じない。うまく段階を踏んでスペイン語に慣れてからこの国に入れば良かった。
昨晩チェックインしたホテルの近くにガソリンスタンドがあり、併設されたコンビニが24時間営業なのだが、夜間は店内に入れず、切符販売窓口のような小さな窓を通して商品や現金のやりとりをする。店内は明るく照らされているのでガラスを通して中を見渡せるが、私はこの国にどんなものが売られているのかわからず、必要なものをスペイン語で説明することはままならない。
『パンはないのパン』
『パンならこれしかない』
口髭をはやした店主が棚から2斤以上ある食パンを持ってくる。
『いやーそれじゃ食べきるのに3日かかる。そのー、黒くて熱い飲み物あるでしょ』
『カフェか。カフェ飲むのか』
『いや、それは置いておいて。そのー、冷たくて白いものあるでしょ』
『ソフトクリームか。ソフトクリーム食べるのか』
『いや、それは置いておいて』
『なに、これも置いておくのか』
『そのー、カフェ(抽出器)とソフトクリーム(作成器)の間にあるガラスケース、そこに入っているものパンじゃないの』
『なんだ、それをききたかったのか。これはパイだ』
という具合で、私は薄暗い中、犬に吠えられながら単語に身振り手振りを加え、店主はスペイン語をどなり商品を近くに持ってきて見せながら、ジェスチャーゲームのやりとりを交えて買い物しなければならなかった。
朝10時からホテルを探しているのに、この街でも安めのホテルはことごとく満室だった。昨晩、12時過ぎにホテル探しをしていたら大変なところだった。6件目でやっと空き室をみつけ、セキュリティと清潔さに問題があったが、最後の1部屋ということでチェックインした。
今後のベネズエラでの宿探しが不安だ。
ベネズエラ人は思っていたより穏やかだ。私の幼稚なスペイン語にみな耳を傾け理解しようと努力してくれる親切さもあり、感触としてキューバ人に近いものがある。
このような穏やかな国民でありながら、観光による入国を逡巡させるほど犯罪が多いというのは、政治行政に相当な問題があるとしか考えられない。