[エジプト]ルクソール(1)
<夜のルクソール神殿/ナイル河夕景(2枚組)>
当初、ルクソール観光は1日で済ませる予定だった。ナイル川の西岸半日、東岸半日でちょうど良いはずだ。しかし、予想外の暑さのため2日間に変更した。日中、直射日光下で気温が45度近くまであがる中で自転車による観光はかなり辛いものがあった。特に広い地域を回る西岸地域では、個人旅行者にとっての移動手段としてはタクシー、バイク、自転車ぐらいしかない。入場料でかなり出費がかさむため、せめて移動手段だけでも安く押さえたいと考えてしまう。
それにしても、ルクソールでもこまごまと高額な入場料を徴収される。最悪なのはツタンカーメンの墓、1,450円。カイロからルクソールまで1等車による11時間の1,400円(実際私が乗ったのは2等車900円)よりもルクソールで泊まった3つ星ホテルのシングル1,250円よりも高い。これだけ金を取るのだから相当のものだろうと期待していたが、2、3分見れば済む陳腐なものだった。他の墓を含めて撮影禁止のため記録に残せず、今後の旅行者にこんなつまらないところだったと伝えられない。
せっかくここまで来たのだから、あまりにも知名度が高いからと異常な金額と思いながらも払ってしまう。エジプト観光局のぼったくりだ。
(エジプト政府は旅行者を守るテロ対策費がかさんでいると言い訳しそうだが、テロリストは外国人旅行者の殺傷を狙っているのではなく、エジプト政府の主要な収入源である観光産業に打撃を与えるのが目的だ。年々値上がりしている入場料で観光による収入の割合が高くなり、テロリストにとって旅行者を襲撃する意義が高まるだけだと思うのだが)
まだ体が本調子でないが、菌が抜けきったようなのであとは時間の問題だろう、ということで今日は1日列車に乗ることにした。
朝7時半に出発して9時間はトイレにも行かずじっとしていた。誰かの足が臭う。新聞紙がちらかっている。それ以外には不満がないがやけに疲れる。
エジプト人旅行者たちはまるで夜行列車に乗っているかのようによく眠る。いびきをかき続けている人もいる。みんな15時間はかかるというアスワンまで向かうのだろうか。隣に座る無職32歳がやっと目を覚まし、途中駅で買ってきたパンをごちそうされる。レーズン入りの細い棒状の固いパンにゴマがふってある。空腹だったせいもあるが、これがすこぶるうまい。
砂漠地帯ならではの赤い夕陽が美しい。ああ、もう陽が沈んでしまう。ルクソールは遠い。
結局、夜6時半にルクソール到着。2等車のシートで11時間は体中が痛い。日本円換算で1,400円と五百円高いだけの1等車にすべきだった。