ウズベキスタンのたび

シャフリサブス

<アク・サライ宮殿(1枚目)/バザールでナンを運ぶ(2枚目)

サマルカンド2日目は、車で2時間程度のシャフリサブス(シャフリサーブス)往復を目指す。バスはないので乗り合いタクシーを探すが、警官、タクシー運転手、街の人々に尋ねても、そんな車はないとしか言わない。英語がほとんど通じない人々だが、しつこく何人にも尋ねているうちに状況が見えてきた。朝の遅い時間のためシャフリサーブス行きはもう出ないが、途中のキターブまでならタクシーが出ているだろう、ということだ。
更に時間をかけて、キターブ行きの乗り合いタクシーが出る場所を発見できた。私を含めて3人の客が待っていたが、30分待っても4人目が集まらない。客も運転手もじっと4人目の客が現れるまで待ち続けるのは明白だったので、私が2人分の料金4ドルを出し、出発してもらうことにした。私は旅行資金を低く押さえたいのではなく、時間に余裕があるときは地元の人と同じものに乗りたかっただけなのだ。
シャフリサーブスには、宮殿、モスク、博物館など手頃な観光施設が歩き回れる距離に集まっている。ティムールが残した最も壮大な建築物と言われるアク・サライ宮殿の入口に幼児を抱いた母親がいた。白いドレス姿の赤ん坊が愛くるしかったので、写真を撮っていいかと尋ねると、母親は幼児の衣服と髪の毛を整えて抱き上げてくれた。

観光で訪れていた母親たちと一緒に宮殿アーチ跡の階段を登る。40mの高さを上がる急な階段はただ登るだけでも大変なのだが、子供を抱いた母親は大汗をかいていた。一番上の展望所からティムールの像が立つ公園やザラフシャン山脈の山並を眺めていると、日本人の団体が階段を上がってきた。なぜか高そうな一眼レフのカメラをぶら下げた人が多い。
団体の1人の女性がかわいい赤ちゃんと言って、私と一緒に登ってきた幼児を撮らせてもらっていた。すると、本当、かわいい、かわいいと言いながら、次々と男女のカメラマンたちが断りもせず赤ん坊を撮影しだした。最初は喜んで応じていた母親も撮影者が10人ぐらい続くとうんざりとしていた。彼らに撮影させるためにこの階段を登ってきたような気にもなる。
私はこの団体から離れ、公園を歩いていた。ティムール像の前で新婚カップルが親戚友人に囲まれて記念撮影をしていた。結婚式の時はどの国でも写真に対して寛容になるものだ。私は断りもせず、どうどうと彼らの中に割って入り、さもプロカメラマンであるかのように撮影していた。
しかし、その状況を日本人団体に見つかった。彼らの1人が駆け寄り、私の真似をして撮影を始めると、10人のカメラマンが押し寄せ、親戚友人を押しのけるように新郎新婦を撮影していた。みなさーん、お昼に遅れますよー、早く集まってくださーいという添乗員の声に団体カメラマンは、どどっと走り出し、某市医師会と表示されたバスに乗っていった。
私の場合は交通手段こそ異なるが、観光のしかた、写真の撮り方、金の使い方は彼らとあまり変わらない。私のような旅行者が団体となれば、地元の人々が迷惑を感じる。気づいていたことだが、そのことを目の当たりに見せられショックを受けるのだった。

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