イエメンのたび

不意に現れた子どもたち(サナア)

<狭い路地から現れた裸足の子どもたち>

車の通らない静かな路地で、ファインダーを覗きながら撮影ポイントを探していると、突然、2人の女の子が目の前に現れた。そして、年長の子が無言でカメラを指差す。写真を撮って欲しいのかと私が尋ねると、彼女が頷き、2人は緊張した面持ちで身構えた。カメラの準備ができていなかったが慌てて1枚撮影すると、そのまま2人は立ち去ろうとする。
『ちょっと待って。スーラ、ワン、スーラ、ワン』
覚えたばかりの言葉が通じた。裸足のこの子たちは、髪はボサボサで服は汚れている。先ほどの子と違い、旧市街で平均的な暮らしをする子どもたちのようだ。
『こわい顔しないで、リラックスして。ほら笑って』
すぐにでも逃げ出したそうな子どもたちを立たせ、カメラを向けながら話しかける。通じているのか引きつった笑みを浮かべる。
『まだ、かたいなあ。ちょっと待って、もう1枚・・・。』
3枚目の準備をしようとした時、2人はこらえ切れなかったように駆け出し、私の背後の狭い路地へと去っていった。
不意に現れた子どもたちは唐突に目の前から姿を消した。

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