[ボスニアヘルツェゴビナ]サラエボ

また、プライベートルームの世話になることになったが、ルームがプライベートではなくなった。ただ、単に民家に泊まらせてもらうだけで、プライバシーは全く守られない。

朝6時すぎに列車が終点サラエボに着いたようだが、予想以上に小さな駅だったので確認していると私はほとんど最後の降車客になってしまった。列車に乗り込んできた客引きの元気なばあさんが私を捕まえた。
駅の周りは閑散として、一見してホテルがないことがわかったのでこのばあさんについて行くことにした。

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サラエボはソフィアなみに危険な街のようだ。このばあさんが一緒に乗ったトラム内で、ジプシーがポケットを狙っている、バッグを体の横にかけるなとうるさい。
トラムで移動後、街の中心から10分ぐらい急な坂道を上ったところに彼女の家がある。居間兼台所とその奥にベッドルームがあるだけ。6畳程度のそのベッドルームが私に与えられるようだが、鍵がかかるわけではないし、トイレに行くためには彼女が寝るという居間を通る必要がある。プライバシーに問題あるがばあさんだから大丈夫だろう。1泊10ユーロと安く、夜行による到着で動くのが面倒だったのでそこで荷をほどくことにした。

前の晩そこに宿泊していた韓国人旅行者が起こされ、一緒に朝食をとる。夕方まで部屋にいることを望んでいた韓国人は強引に追い出された。
街を散策すると内戦の銃痕や廃墟となった建物が見られ、物乞いが多い気がするが、人々の表情は明るい。
部屋に戻ると昼食も作ってもらい、ばあさんと2人だけで食べることになる。彼女はソファで私の横に座り、夕食も一緒に食べるから外で食べないようにと念を押す。そして、短めのスカートから伸びた足を組んで、ねえ私いくつにみえると尋ねてくる。ばあさんが何でそんなことを訊くのだろう。背骨の曲がりぐあいと顔や手の皺の多さから65歳ぐらいかと思ったが、一応女性なので10歳サバ読んで55歳と答える。
『えー何言ってんのー、冗談言わないでよー。45歳よー』
私は思わず口に入れたパンを吹き出しそうになった。えーはこっちのセリフだ。45だなんてそんな訳ないだろう。彼女が証拠として取り出したパスポートを確認すると、恐ろしいことに本当のようだ。んー、そういう目でみれば45に見えなくもないが、そうするとこのプライバシーのないプライベートルームはいくぶん危険ではないだろうか。

いくぶんどころか夜はかなり危険だった。大事にはいたらずに済んだが。(思い出したくないので詳細割愛)
もうプライベートルームはこりごりだ。

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