<夜のサナアの子どもたち>
夕方になると子どもたちが増えてくる。サナア旧市街の広場で3人の姉妹を見つけカメラを向ける。すると、近くにいた男の子たちがすごい勢いで駆け寄ってきた。しかたなく男の子を含めた集合写真を撮り、その後で女の子だけを撮ろうとしたが、女の子たちが押されて大騒ぎになる。更にその様子を見た周りの子どもたちが大勢集まり、カメラを持った私がもみくちゃにされる。その時、近くにいた大人が子どもたちに大きな声を出した。
『何やってんだ。みっともない。』
たぶんそんなことを言ったのだろう。興奮していた子どもたちを私から引き離すと、その男は私を向いてニヤリとした。彼は口髭を触りながら私のカメラに興味の視線を向けていたが、その衝動を押さえるように手をあげて去っていった。
サナアでは他人の子どもを叱る大人の姿をよくみかける。イエメン人あるいはアラブ人のプライドを教えているような気がする。